年齢を重ねると、関節の痛みや不調を患うことが多くなります。その際には、体操を行なったり安静にしたりなどの対処法があります。その中で、薬を服用するという選択肢もあります。
膝の関節を直す薬として有名なものとして「グルコサミン」があります。グルコサミンの作用機序は、膝の軟骨の組織を増やすことで、膝関節の炎症を防ぐといったものです。現在でも、グルコサミン配合の薬は市販で出回っています。そして、多くの方が服用し、健康商品として根付いています。
ただ、よほどの理由がない限り、このような薬に頼って解決するのはオススメしません。理由は簡単であり、膝関節の環境が良くならないからです。今回は、その理由について詳しく解説していきます。
組織が解消されても負担を減らしたことにはならない
膝関節が炎症すると、組織内にある物質に異常が起こります。例えば、「軟骨の組織がすり減る」や「膝関節内に液体が異常にたまる」といった症状です。すでに悪い症状が発生した場合、薬を使ってその炎症を防ごうとします。
ただ、実際にはそうした組織を回復させたとしても、痛みの解消につながりません。理由は、悪くなった組織が治ったとしても、その組織に負担や重さがかかった姿勢や状態は改善されていないからです。
痛みが発とは、「脳を介し、神経に痛みの信号が送られ、筋肉や組織に伝えられている」ことになります。つまり、膝の組織を直すのではなく、「なぜ今の自分は神経や筋肉に痛みが送られるようになったのか?」と思考しなければいけません。すると、膝関節以外に、別の関節に影響が出て、悪い影響が出ることが強く推測されます。
例えば、膝関節には腰の骨からつながって腰の骨まで伸びている神経があります。体にある神経は、一つの関節だけでなく、あらゆる部位につながっています。つまり、別の部位にある神経が圧迫されることで他の部位にも影響が出てしまうことは多いにあります。
実際に、腰痛を患った人は、腰以外に太ももの裏側、ふくらはぎ、踵周りにしびれや痛みを訴える人はいます。これは、腰にある筋肉や神経は太ももの裏側やふくらはぎまでつながっているからです。
つまり、前述に述べた膝の組織が悪くなったのも、自分の姿勢や生活習慣の何が悪くなって結果的に膝関節に負担が来てしまったのかを考えなければいけません。このように、膝関節だけでなく、他の部位に目を向けることで、結果として膝関節の組織の悪化の原因をつかむことができます。
例えば、「加齢」「運動や酷使のし過ぎ」による理由以外に、膝関節の痛みが患う原因として以下のものがあります。
・日常生活のストレス
普段から緊張やストレスを抱えた生活を続けると、筋肉は「緊張が続く」状態で癖づきます。すると、筋肉の収縮反応の際に放出されるカルシウムイオンが筋肉内にたまりすぎてしまい、筋肉が伸びることも縮むこともできなくなります。
これによって、膝に関わる筋肉が緊張しすぎてしまい、痛みが起こります。特に、太ももの裏側、外側、ふくらはぎといった筋肉が緊張状態が癖づくともとに戻すのが困難です。
・姿勢による神経圧迫
普段立っている姿勢が骨盤が前に傾いた前傾姿勢の場合、背筋が圧迫されます。背筋が圧迫されると、腰の骨周りにある神経が圧迫されます。すると、その神経につながった膝関節周りにある神経に痛み信号が発生します。これによって、膝関節に痛みが起こるようになります。
・関節内包液の異常からくる痛みの発生
関節に異常が起こると、痛みや不調を防ごうとして栄養分が集まります。これは、「体液」と呼ばれます。体液の内部にはアミノ酸などの栄養素が含まれています。この栄養分が膝関節の組織の修復に活用され、痛みの回復に
しかし、現代人の水(生体水)は普段の食生活で質が低下していると強く強く推測されます。普段摂取している水の粒子サイズが大きいことと、水を体内で活かすために必要な器官が疲弊しているため、体液の質が低下します。これによって、損傷部に体液が集まりすぎてしまい、結果として、関節部に強い圧力がかかり、痛みが生じます。
このように、膝関節の痛みは膝の組織の損傷ではなく、「なぜ、膝の組織が悪くなってしまったのか?」という原因を考えなければいけません。薬を摂取したとしても、上記のような原因が改善されなければ、再び組織が悪くなってしまうことを理解する必要があります。
グルコサミンが体内に吸収されない科学的な理由
さらに、グルコサミンは摂取したとしても、膝の悪くなった組織の改善につながらないもう一つの理由があります。それは、国内と海外でグルコサミンの化学構造が異なるからです。
まず、グルコサミンには「塩酸塩」と「硫酸塩」の二つがあります。二つのタイプの大きな違いは分子サイズです。塩酸塩のグルコサミンの方が硫酸塩のグルコサミンより分子サイズは大きくなります。
分子サイズが大きくなると、体内に吸収されるグルコサミンの割合が小さくなります。理由は、分子サイズが大きい物質ほど、分解するのにエネルギーを有するからです。もし、自身の姿勢が悪く、消化機能が低下している場合は、グルコサミンが体内で有効活用されることはありません。
このように、塩酸塩型のグルコサミンが日本で普及しているのは、大きい分子の方が分解されにくく、品質を管理しやすいからです。しかし、物質が安定しているということは、体内で分解されにくくなり、効果が少なくなるということも理解しなければいけません。
ドイツの場合、グルコサミンは「硫酸塩」で販売されています。しかし、日本のグルコサミンは「塩酸塩」であり、日本型の塩酸塩はドイツで販売されておりません。このような事実を理解したうえで、グルコサミンの摂取を膝の痛みの解消に役立てるか検討をしてみてください。
薬の摂取だけを行ったとしても、本質的に膝の痛み解消につながりません。膝関節の痛みは、「姿勢からくる関節内の負担」「生活によって起こった筋肉などの異常」からも考慮にいれる必要があります。こうした原因を振り返り、膝の痛みを確実に直すようにしてください。