日常生活でスーパーやデパートで買い物に行くことはよくあります。食品の買い出しや物の購入をすると荷物が多くなります。例えば、スーパーで買い物すると、何日分と食材を買うと袋がパンパンになってしまいます。
このときに袋が重いと肩や腕がすぐに疲れてしまいます。しかし、ちょっとした工夫をすることで、袋を楽に持つことができ、肩の負担を軽減することができます。ここでは、買い物したときに袋を楽に持ち上げる指の使い方について解説していきます。
4本指で持つと肩に負担がかかる
多くの人はスーパーの袋を持つとき、四本の指を穴に通し、ひっかけるように持ちます。一番つかみやすく、実行できるからです。街で袋を持っている人を見かけるとだいたいが袋の穴に4本指を通して握るように袋をつかんでいます。
ただ、この持ち方は体の観点からすると大きな負担がかかります。なぜなら、4本指でひっかけて持つと拳が自然と握られるからです。
上記のように持つと4本指の第一から第二関節あたりに重さがかかります。もし、そのままにしていると指が伸びてしまうため、指を曲げる力が働きます。すると、拳全体が握った形になり、腕や肩に負担がかかってしまいます。
指の握りと重心の影響
ここで、指の握り方と重心の影響について解説していきます。人は握り方によって身体の重心が変化します。たとえば、以下のようになります。
グーで握る……重心が前方に行きやすい
チョキで握る……中央に乗りやすい
パーに開く……重心が後方に乗りやすい
このように、ジャンケンのこぶしの形によって、身体の重心の位置は変わります。
解剖学を勉強すると、人の身体は重心が前方に行くと、太ももの裏側、背中側の筋肉が張ります。背中側の筋肉は上半身をまっすぐに立たせる役割があります。上半身全体を支えるためにも、背中側の筋肉が伸びていることは大切といえます。
しかし、グーで握った状態では、重心が前方に行ってしまい、背中側の筋肉が張ってしまいます。すると、上半身をまっすぐに支えるために大きな負担と労力をかけています。これによって、肩や胸あたりがすぐに疲れてしまいます。
指の握りと胴体の筋肉との連動性
あるいは、人は握る指によって胴体の働く筋肉が変化します。実際に行ってみるとわかりますが、人差し指と親指を握ると、腕の表側の筋肉働きます。反対に小指、薬指を握ると、腕の裏側の筋肉が働きます。
もし、買い物袋を持つときに、人差し指と親指を握ってしまうと、腕の表側の筋肉に負担がかかり続けます。これによって肩に負担をかけてしまいます。重いものを持ったり、吊るときに大切なことは、なるべく肩に負担がかからないように持たなければいけません。
一方、小指を握ると、腕の裏側、脇下、腰部の筋肉などが連動して働きます。これらの筋肉は解剖学的に「関節を安定化」させる部類に含まれます。小指を握ることで、買い物袋の荷重がかかったとしても、腰や肩関節が安定するため、楽に身体に負担なく持てます。つまり、「小指を握る力」をいかに活用するかで物が楽に持てるかが決まります。
拳を握ると、単に肩が詰まるだけでなく、体全体がなんとなくだるい感じに見舞われることがあります。これは、持ち方によって体全体が歩行に影響が出てしまうからです。
武道における「三角の手の内」を実践してみる
そのため、なるべく袋は握らないように持つことが大切です。特に人差し指と親指の間は広げるようにして持つと肩の負担がかなり少なくなります。これらを解決する方法は、武道の世界で有名な「三角の手の内」を実行することです。
これは弓道でより威力の強い矢を放つときに使われる弓の握り方です。人差し指と親指を軽く曲げて間を広げるようにしましょう。次に小指を手のひらの中心に寄せるように親指と近づけましょう。すると、三指によって三脚の形が出来上がります。
この次に軽く薬指と中指を握ると三角の手の内が完成します。この形を保ったまま袋を持つと肩に負担なく持てます。具体的には、まず、手を袋の穴に突っ込みます。次に人差し指と親指を広げます。最後に残りの三指を握りながら、手首を下に返すと、袋の穴を三指でつかむことができます。
このように握ることで、三角の手の内で袋を持つことができます。次に、持って歩くときは常に肩を落とすことを意識しましょう。肩を落とすことを意識するより、袋の重さによって自然と肩が下がるような気持ちで歩きます。これによって、肩のだるさが解消されて、負担なく袋を持つことができます。