良い姿勢を意識しすぎると姿勢が悪くなる

 

 

仕事をしている人であれば、疲れや体の不調を伴います。姿勢が反り腰になっていれば腰痛になりやすく、猫背になっていると肩凝りになりやすいです。こうした事態を解消するためには、正しい姿勢とその構築法を理解する必要があります。

 

世の中には、姿勢を改善するためのあらゆる情報があります。そのような情報を見ると、「背筋をピンと張る」「胸を張るように」といった内容が記されています。確かに、そのように意識をすると、見た目の姿勢は良いように見えます。

 

ただ、このように意識をすると、かえって姿勢が崩れるどころか、身体が緊張してしまい、余計な疲れになってしまう可能性があります。その理由は、力を入れて、筋力で姿勢を正したとしても、後になって力が抜けて崩れてしまうからです。そのため、本質的に姿勢改善を行いたい場合は、体の仕組みに基づいて姿勢を構築する必要があります。

 

今回は、武道の観点から、姿勢を意識しすぎることによって起こる弊害について書いていきます。

 

良い姿勢には二種類存在する

武道の世界で「姿勢」が整っているとは、日常生活での姿勢と違った解釈を持っています。よい姿勢とは、以下の二つが存在します。
 
 見た目がキレイな姿勢
 中の筋肉・内臓に負担のない姿勢

 

専門的に良い姿勢とは、横から見たときに、耳ー肩ー大転子(ももの外側の一番出っ張ているところ)ーくるぶしが一直線になっている姿勢とされています。この姿勢は「筋肉」「見た目」ともに、良い姿勢に当てはまることが多いです。

 

武道の世界では、三十重文字と呼ばれる姿勢があります。これは、両足底ー腰骨ー両肩の線地面から平行になっており、上方から見て正しく一枚に重なっている状態です。この姿勢を意識することで、筋肉に負担なく立つことができます。

 

あるいは、禅の世界では、呼吸を行う際に姿勢を重視します。少しアゴを引き、鼻とへそ(臍下丹田ともいう)、耳と肩の位置が縦に垂直に交わるようにします。このようにすることで、呼吸を行うときに、お腹側だけでなく、背中側にも酸素が入るようになります。これによって、酸素を取り込む量が増加します。

 

武道の観点で、姿勢を改善する際に大切なことは見た目より、中身であるとわかります。上記のように姿勢を正すことで、呼吸を取り込む量も増大するし、上半身の無駄な力みもなくなります。つまり、仕事する際、スポーツをする際に大切である身体の機能を最大限に活用することが可能となります。

 

キレイな姿勢は、足から構築される

そして、このように中身があるキレイな姿勢を構築するためには大切なことがあります。それは、キレイな姿勢は脚から作られるということです。

 

まず、立った姿勢から、膝下と太ももがきちんとつなぎ合わせる必要があります。そのためには、お尻を締め、股関節を外旋させる必要があります。すると、骨盤が立ちます。骨盤が垂直に立つと、上方向に乗る背骨が真っ直ぐに正しやすくなります。これによって、内臓や筋肉に負担なく立位の姿勢を保つことができます。

 

ここで簡単な実験を行います。まず、ふつうに立った姿勢から、別の誰かにあなたの足首を持ってもらい、上に上げてもらいます。次に、立った姿勢から、誰かにお辞儀をするように上半身を前に倒します。そうしてお辞儀をした後に、少しずつ体を持ち上げてから、上半身を真っ直ぐにただします。この後に、誰かにあなたの足首を持ってもらい、上に上げてもらいましょう。

 

すると、先ほどより、足首が上に上げずらいのがわかります。なぜなら、お辞儀をして上半身を上げていった方が、下半身に体重の乗った姿勢が構築しやすいからです。つまり、体を前に倒して、起こしていって、背骨を積み木のようにひとつひとつ上方に積み上げていくようにすることで、上半身に力みなく、姿勢を正すことができます。

 

つまり、姿勢改善とは、足首、膝下、太もも、骨盤、背骨、肩、首、頭部と下から積み木のように積み上げていくことです。胸や背筋をいきなり真っ直ぐにするのではなく、足首や膝下といった脚関節から、上にある上半身の関節を整いやすくするように立たせます。このように考えることで、どのような方も容易に身体に負担なくキレイな姿勢を構築できます。

 

背筋を伸ばしたり、胸を張ったりすると、筋肉が緊張してしまう

そして、一般人が考える良い姿勢は「とにかく背筋が伸びている」と考えがちです。胸を張って背筋が伸びた姿勢が良い姿勢と考えている人が多いです。

 

一般的に背筋を伸ばす動作は、胸椎(肩甲骨の間の高さにある背骨)を伸ばす動きになります。具体的には、「胸を張る」「肩甲骨を寄せる」などがこれに当たります。

 

この背筋の伸ばす動きをすると、見た目は胸が張って良い姿勢に思います。しかし、武道の観点である「中の筋肉や内臓器官」の観点からみると、大きな問題があります。

 

背骨は正常なときは、S字状に湾曲しています。首と腰の2ヶ所で自然と湾曲しており、体にとても重要な役割をしています。その主な役割が地球上の重力に対抗する役割です。S字湾曲はバネのように働き、体にかかる衝撃を吸収します。そして、体は衝撃を吸収できる分の力しか発揮できないようになっています。

 

もし、このS字の湾曲を自ら腰を反らしたり胸を張ったりして「大きく」したとします。すると、地球上の重力に対して、対抗するためのあそびがなくなってしまいます。すると、背筋や胸筋が張ってしまいます。当然ですが、筋肉が張ると、その筋力を持続できなくなってしまえば、凝りや力みになってしまいます。

 

もしも、凝りや力みが続いてしまうと、腰痛や肩凝りを患ってしまう危険があります。実際には、ここまではいかなにしても、背筋を張ると、高い確率で姿勢が崩れてしまいます。もしも、背骨のS字湾曲が大きくなるように、胸や肩をそらしてしまうと、重力に対する抗力力が弱くなります。

 

もし、姿勢を正そうと「背筋を伸ばそう」とすると、結果として、腰椎や胸椎の湾曲を余計大きくしてしまいます。つまり、背筋や胸から伸ばそうと意識すると、筋肉に力みや緊張が起こってしまいます。その結果、重力に耐えられなくなり、筋肉に緊張を起こしてしまいます。

 

例えば、スポーツの世界では、筋トレやトレーニングを行っても、怪我や不調が多い方は数多くいます。その理由は、もともとの姿勢で緊張や負担のかかった状態であるため、少ない力でも筋肉に過負荷がかかってしまうのです。

 

以上の内容をまとめると、姿勢には、見た目が良い姿勢、内部と筋肉に負担のない姿勢の二つに分けられます。武道の観点から解説すると、足から考えて内部、筋肉に無駄な力みや凝りのない姿勢を目指す方が、姿勢改善のみならず、内臓機能の低下を防ぐことができます。

 

逆に見た目の良い姿勢にとらわれて、背筋や胸だけを伸ばそうとしても、筋肉が力むだけです。心身の負担がないようにして、普段の姿勢を変えるようにしてください。

 

良い姿勢には、見た目良い姿勢と、筋肉・内臓に負担のない姿勢があります。その中で良い姿勢を保とうと意識しすぎるとかえって姿勢に悪影響を与え、体の不調を招きます。

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