運動不足になって、体型が太くなると、「ダイエットしなくては……」と思うものです。あるいは、仕事ばかりで趣味を持ちたいと思うとき、体を動かしたいと考える人もいます。そのときに、気軽に始められてダイエット効果のある運動として「ジョギング」があります。
ランニングを行うことで、ダイエットや美容健康を実現することができます。ただ、初心者の方がやみくもに走ろうとすると、無理な体の使い方をしてしまい、体をいためてしまいます。
そのため、初心者の場合、身体の仕組みをもとに走り方や歩き方を学ぶ必要があります。普段の歩き方や走り方を含め、意識をかえていけば、ランニングにおけるトレーニングやダイエット効果が向上していきます。
では、初心者の方は、ジョギングで最初に考えなければいけないことは何でしょうか?近年は、ジョギングブームもあり、ジョギングの情報が多くあります。今回は、そうした情報をもとに、初心者が理解しておくべき考え方と練習法について解説していきます。
歩く動作は一部分を直しても改善されない?
世の中には、様々なジョギングの情報があります。そして、走り方、歩き方を改善するために、あらゆる歩き方の改善方法が紹介されています。例えば、本を開くと、「股関節を意識して歩きましょう」、「走るときはお尻を意識して走りましょう」といった説明があります
ただ、このような内容をまねをしようとしても、意味がないと理解してください。実際に動作中に股関節やお尻の筋肉に関する知識を知っていたとしても、実際に使うのは困難です。
動物であれば、4足歩行で歩くのに対し、人間は2足歩行です。頭を支えながら行う運動は全身運動であり、実際にはさまざまな筋肉が連動して働きます。
元気に歩いていた老人が急に歩行障害になって歩けなくなることはよくある話です。このように、歩くという動作は、あらゆる筋肉がバランスをとって成り立っています。そのため、どこか一部の筋肉が異変を起こすと歩けなくなります。
そこで、先ほどの説明に戻ります。姿勢がきれいな人は、歩いているときにしっかり股関節を使えていて、お尻の筋肉が働いています。しかし、その部分だけを意識すればよいわけではありません。また、股関節やお尻といった一部分の体にとらわれた動きをすると姿勢が崩れてしまい、動きに無駄が出てしまいます。
「股関節」や「お尻」といった言葉にとらわれて体を動かそうとすると、腰を不用意にねじったりうねらせたりといった無理な運動をしてしまいます。すると、無駄に筋力を使ってしまうため、体力が低下してしまいます。
熱心に学びたい場合は、意識して取り組む
ただ、股関節やお尻を使った動きの感覚がわからない人の場合、最初はそこから入ってもいいかもしれません。私自身も股関節やお尻を意識して走っていたときはありました。その結果、マラソン大会に出ると、いつもきまって後半に太ももの裏側の筋肉がつってしまい、途中で歩いていました。
何かの筋肉を意識したり、動かし方を理解することは、運動技術を高めるために必要なことです。股関節を意識してうごかすと、運動中にかかるストレスや気持ちの持ち方は何も考えないときに比べて、変わってくるはずです。そうした経験を積み重ね、いかに自分にとって楽で負担のない動かし方を考えていくかは、ジョギング動作をスムーズに行うためには、必須であるといえます。
ただ、全員に当てはまる訳ではありませんが、ジョギングにおいて、「股関節」を意識することはあまりお進めできません。その理由として、ジョギングを含めた歩行動作は、上半身が体重移動が行われることでなされるのが、最も身体に力みがないからです。
みぞおち部から動きが始まると、もっとも歩きやすい
身体には、あらゆる部位に重さがかかった部位(重心)があります。この中で、ジョギングにおいてもっとも関係する重心は足裏と胸です。
2つの重心が停止しているときは、人は静止状態が保てます。逆に、2つの重心がずれを起こすとき、「歩行運動」が開始されます。このときに、解剖学的には、胸の重心がずれることによって歩行運動がおこなれると身体に力みが最も少ないとされています。
この理由として、胸の重心が動くことで、両肩や両腰が左右にずれないからです。ランニング動作において、不用意に方や腰が動くことは、動作中の安定度が欠けてしまい、無駄な筋肉の力みにつながります。関節を安定させる筋肉として、「脇下の筋肉」「腰部の筋肉」が挙げられます。
肩や腰の筋肉が不用意に動くことは、胴体をひねる動作がおこるため、動作中の安定性の低下につながります。そのため、ジョギング動作においては、股関節や肩甲骨ではなく、胸の重心が動く事で行われるものと理解しましょう。
股関節を動かしたいのであれば、股関節を意識しない
ただ、ジョギング動作においては、股関節や肩甲骨が柔軟に、ダイナミックに動くのが理想とされます。中、長距離のランナーを見ると、みなランニング中に股関節と肩甲骨が軽快に動きます。
その理由として、股関節と肩甲骨が動くと、末端部にある脚や腕が楽に大きく動くからです。これによって胴体部を動かすための腕を振る推進力や両脚を歩く際の歩幅(ピッチ)が大きくなるからです。そのため、世の中のランニングの書籍では、股関節と肩甲骨周りの柔軟にする体操やトレーニング法が公開されています。
ただ、ランニング動作中に肩甲骨や股関節を本当に動かしたければ、身体の使い方を変える必要があります。単純に股関節を意識するだけでは、股関節は動きません。
実際には、股関節を動かしたい場合、脚ではなく、おへそ周りを意識しなければいけません。背中をまっすぐにし、少しおなかをへこませた状態で「脚」ではなく、おなかを上方向に持ち上げるようにします。これによって、股関節を動かすために必要な「腸腰筋(ちょうようきん:太ももの筋肉)」が働くようになります。
例えば、私の場合、武道を学び、体の使い方を学習し、股関節やお尻を意識して走らなくなりました。しかし、それでも周りの人に走りを見られると「股関節からしっかり脚を出せていますね。」と言われるようになりました。
運動を学ぶ際に、「別の筋肉を意識することで、自分の動かしたい筋肉を動かすことができる」ことはよくあることです。プロスポーツ選手に股関節を必要以上に動かしているかと聞かれると、体を意識せず、それよりも「自分の姿勢がきちんとしているか?」「力みがとれて体がスムーズに動いているか?」といったことを意識します。
そのため、歩き動作を含め、すべてのスポーツにおいて、動かしたい筋肉はあまり意識しないことが先決です。
これが野球やサッカーについてもいえます。野球であれば、股関節を使ってピッチング動作を行いたければ、股関節を意識せず、別の部位を意識するようにします。サッカーでも、ドリブルやパスにおいては、脚を意識しないようにします。つまり、運動動作は、初心者は特に「下手に体のことを気にせずただただ動く」ことを意識して動作を行うようにすることが大切です。
股関節やお尻を意識して動かそうとすると、必要以上に膝や腰が動きすぎてしまうため、上半身をうまく支えることができません。そのため、キレイな歩き方を身につけることは難しいです。? ?本に載っている情報にはあまりとらわれず、自分にあったジョギング、自分にあった体の使い方をするようにしてください。
まずは上半身の力みをとることから始める
?ただ、初心者を含め、常に意識してほしいことがあります。それは、「姿勢」です。
なぜ、姿勢を意識しなければいけないのでしょうか?それは、人の筋肉には関節を動かす筋肉と安定化させる筋肉の2種類があります。この中で、関節を安定化させる筋肉は「首の後ろ」「脇下の筋肉」「腰周りの筋肉」などが挙げられます。
これらの筋肉の柔軟性が低下すると、筋肉の炎症や故障がおこることが知られています。そのため、楽に負担なく走るためには、姿勢を整えてから走るようにしましょう。
そのためには、まず首を上方に伸ばして、肩を落とします。首を伸ばすことで、背面の筋肉を伸ばすことができます。そして、肩を落とすことで胸周りの筋肉がほぐされます。これによって、上体が真っ直ぐに伸ばされ、かつ筋肉がリラックスした姿勢が完成します。
次に、首を上方に伸ばしていた方向を真上ではなく斜め60度程度に意識してします。すると、自然と上体が前傾してきます。そのままにしておくと体が少しずつ前に倒れてくるため、脚を前に出したくなってくると思います。
そこで、脚ではなく、腰を前に送るようにしてみましょう。すると、脚全体がすっと前に出ます。これにより、上体が真っ直ぐに保たれたまま、前に体を進めることができます。この要領で次の脚も同じようにしましょう。すると、上体が上下に揺れず、脚に負担なく歩くことができます。
このように歩くことで、結果的に股関節やお尻を使って歩くことができます。さらに、歩くときに腰がギクシャク揺れないため、見た目もキレイになります。このように、まず「歩く」ことより、上体の姿勢をキレイに整えることを先に行います。すると、必要以上に腰や膝が動きにくくなり、動きに無駄がなくなります。
この状態で腰を少し意識すると、腰が動いてくれるのが実感できます。人の体の重量は6割が上半身です。この部位が真っ直ぐに整っていなければ、下半身の動きに悪い影響を与えてしまいます。そのため、歩くときは、股関節や腰ではなく、首や肩といった上半身の部位に気を使って歩くようにしましょう。
書籍で歩き方の方法を勉強したとしても、実際にの歩き動作で使おうとするには、あらゆる工夫が必要です。まず、首を伸ばして肩を落として上体の姿勢を真っ直ぐに伸ばしましょう。すると、結果的に股関節や腰が歩き動作でよく働くようになります。