ダイエットを志すものは、食事方法を見直す必要があります。数々の食事法の中で、「グルテンフリー食事法」が大切です。現在、日本人の大半が穀物や小麦加工製品に依存した食生活をしています。小麦グルテンをやめることで、腸内環境が改善され、結果として、消化、代謝が適切に行われ、ダイエットにつなげることができます。
さらに、小麦グルテンをやめることは、ダイエットだけにとどまりません。現代では、腰痛、肩凝り、膝痛など、様々な症状に悩んでいる人がいます。それ以外に、慢性疲労、冷え性、不定愁訴といった症状にも悩まされている方がいます。こうした方も小麦グルテンをやめることで、症状改善に向かっていきます。
実は、小麦グルテンをやめることはダイエット以外に、他の症状改善にも役立つことが化学的にわかっています。今回は小麦グルテンの制限によって得られる他の効用について解説していきます。
老化や疲労感も小麦グルテンで解決する
身体の老化を引き起こすのは、活性酸素が関係しています。
人はエネルギーを発生させたり何か活動するためには、「酸素」を必要とします。その酸素が体内で変化を起こし、「活性酸素」を生じます。活性酸素は体内の酸素を酸化させることで、正常な細胞を攻撃する性質を持っております。
この活性酸素は、細胞の機能を低下させてしまい、シミやシワの原因になります。それ以外に血管でも発生し、動脈硬化、糖尿病といった血管で起こる病気、ガンといった細胞で起こる病気なども発生させてしまいます。
そして、現代では、様々な要因でストレスが生じます。例えば、過度なアルコールや運動によっても活性酸素が生じます。その他に、人間関係によるストレス、紫外線、食品添加物などによっても活性酸素が生じます。さらに、こうした原因の中に、小麦グルテンを摂取することで、活性酸素を生じます。
その理由は、小麦グルテンは小腸に炎症を起こす元になるからです。小麦グルテンを摂取することで、小腸の粘膜が破壊され、粗くなります。この小腸の荒れによって活性酸素が生じてしまい、小腸の機能が低下します。このため、小麦グルテンの摂取は、疲れや老化を促進します。
さらに、体内では、活性酸素を除去する物質が同時に働くようにできています。その一つがグルタチオンと呼ばれるペプチド(アミノ酸が2~10個程度つながった物質)を指します。
グルタチオンには、システインというアミノ酸が含まれています。そして、小麦グルテンや牛乳のカゼインには、システインの取り込みを阻害する性質を持っています。これが阻害されると、活性酸素の除去する物質が低下し、疲れの除去することができません。
つまり、小麦グルテンをやめることで、小腸の粘膜異常やシステインの取り込み阻害を改善できます。これによって、活性酸素の発生を抑えることができるため、結果として老化や疲労の改善につながるのです。
小麦グルテンをやめることでスタミナが向上する
例えば、私であれば、スポーツとしてマラソン、トライアスロンをしています。食事法を変えたことで、少ない練習量でタイムを自己記録更新することができました。これは、食事法を変えたことで、無駄に放出された活性酸素が抑えられ、筋肉を含めた、細胞、内臓などの機能が高まったからと考えられます。
さらに、栄養指導をされているクライアントに対しても、身体の症状に悩まされている方には「小麦グルテンを2週間やめてください」と伝えます。すると、食事法を変えただけで、長年悩まされた低血圧やスポーツでのスタミナ低下が劇的に改善されたと報告がありました。このように、小麦グルテンをやめることで、疲れ改善だけでなく、スタミナ向上にもつなげることができます。
スポーツの世界では、いまだに「炭水化物は優れた栄養素」という解釈がなされています。しかし、炭水化物は一定量を超えると、肝臓に蓄積されず、脂肪細胞に変換されることがわかっています。さらに、蓄積された肝臓は数日後には、なくなっていくこともわかっています。
スポーツ選手で、スタミナをさらに上げたいのであれば、こうした事実を理解し、小麦グルテン(炭水化物)を抑えた心がけることが大切です。
全身の細胞の悪影響を抑えることができる
さらに、グルテンを抑えることで、疲労感以外にさまざまな症状改善につなげることができます。その理由として、小麦グルテンのアミノ酸の並び方と関係しています。
まず、小麦グルテンのアミノ酸の並び方を見ると、一つ一つがつながって鎖状の構造をしています。その配列を見ると、並び方の中には「細胞に対し毒性を発揮する部位」と「免疫機能に変化を与える部位」があります。
人の血液の中には赤血球、白血球、リンパ球、血小板などが含まれています。この中で、リンパ球には毒素や抗原を撃退する「免疫機能」があります。リンパ球では、免疫グロブリンを出すことができ、これが異物に対して攻撃をしかけます。
このリンパ球の約70%を締める細胞として、T細胞があります。T細胞は免疫反応を起こす物質に指令を与え、適切に毒素や抗原を退治するために必要な細胞です。しかし、小麦グルテンのアミノ酸の中には、このT細胞の免疫の発現を乱す部位が存在します。
T細胞による発現が乱れれば、免疫機能のバランスが崩れてしまいます。これによって、毒素に対して、免疫反応に必要な物質が過剰に放出されてしまいます。すると、正常な細胞にも損傷を起こしてしまうため、炎症や症状が悪化します。つまり、アレルギー反応が引き起こされる可能性が高くなります。
さらに、グルテンには、腸壁を破壊し、粘膜を粗くさせる性質を持っています。これを腸管の透過性を上昇させてしまい、結果として、小腸の機能低下に陥ります。小腸の機能の低下、異常によって起こる病気として、「過敏性腸症候群(下痢が止まらない)」「便秘」「腹部の十万感」などがあります。
小麦グルテンによる他の症状の具体例
しかし、小麦グルテンの過剰摂取により、他の症状を誘発することもわかっています。具体的には頭痛、倦怠感、関節・筋肉痛、脚や腕のしびれ、皮膚炎、注意力の低下、貧血、曇った心などがあります。
こうした症状の背景には、小麦グルテンは脳機能を低下させることとも関係があると考えられます。小麦グルテンのアミノ酸の並び方は、モルヒネと類似した構造をとっています。それによって、興奮を発生させるオピオイド受容体と結合することがわかっています。つまり、小麦グルテンの過剰摂取によって、脳と腸の両方の機能に悪影響を与えてしまいます。
小麦グルテンによって、栄養の吸収効率が下がる
さらに、小麦グルテンを摂取し続けると、栄養の吸収率が低下することもわかっています。具体的には、小麦グルテンの摂取により、栄養分を分解する酵素の分泌量が低下してしまうのです。
まず、人が物を食べるとき、口から出る唾液、胃~小腸へ流れるときに分泌される消化液によって分解されます。唾液、消化液の分解酵素をアミラーゼ、トリプシンと呼ばれます。これらの物質はたんぱく質を分解するために、必要な物質といえます。
しかし、現在の小麦製品の中には、ATIsと呼ばれるタンパク質が含まれています。ATIsは、アミラーゼ、トリプシンの阻害物質の総称であり、これらの酵素を活性を阻害することがわかっています。つまり、タンパク質の分解が妨げられてしまい、栄養分の吸収が阻害されてしまいます。これによって、栄養分の吸収効率がさがってしまうのです。
昔の小麦は、今と比べて異種タンパクの特徴も弱く、毒性も弱かったです。しかし、今の小麦製品は大量生産のために品種改良されています。ATIsを多く含ませて、害虫に強くなる遺伝子組み換えの小麦が生産されています。
しかし、ATIsは腸内で分解されずらいため、胃粘膜にサイトカインが多く放出されます。サイトカインとは、炎症を誘発する物質であり、サイトカインが出ることで、脳からの指令で、白血球などの毒素を撃退する物質が炎症部に運ばれます。しかし、サイトカインが多く放出されるため、炎症が強く誘発されてしまいます。
さらに、小麦製品に含まれた物質の中には、腸内環境を阻害するものがあります。具体的には「フルクタン」と呼ばれる物質です。フルクタンとは、糖質の一種である「果糖」が複数集まった水溶性の食物繊維です。フルクタンは過敏性症候群の原因物質の一つです。
小麦グルテンは栄養の吸収効率を下げるだけでなく、小腸の炎症作用を強くしてしまいます。こうした症状もグルテンを摂取量を減らすことで改善に向かいます。
以上の内容をまとめると、小麦グルテンをやめるメリットとして、「老化、疲労をおさえる」「消化吸収が悪くなる」「全身の症状を改善に向かう」などが挙げられます。こうした内容を理解し、明日から健康な身体を構築するようにしてください。