本当に脂質、コレステロールは悪い物質かを検討する

ダイエットを行う際は、適切な食事法を選択する必要があります。そのためには、適切な栄養素を選択し、摂取しなければいけません。もし、ダイエットを行うのであれば、糖質、小麦グルテンの摂取を避けて、中性脂肪やその他の毒素を生産する原因を排除しなければいけません。

そして、体や頭を動かすために、必要なエネルギーを補充し続ける必要があります。その際に、「脂質」を積極的に摂取することを私はオススメします。なぜなら、脂質は栄養素の中で1g当たりのエネルギー値が最も高いだけでなく、生体内に多くのメリットがあるからです。

しかし、脂質を過剰に摂取することは、生活習慣病を引き起こすのでは?と多くの人は考えがちです。なぜなら、脂質は、体内で「コレステロール」の材料となるからです。血液中のコレステロールの量が増えると、血管にコレステロールが付着し、血流を阻害します。これが、動脈硬化を起こす元となります。

ただ、このような事実は本当なのでしょか?歴史をまとめてみると、本当にコレステロールが悪か?ということが明確になります。今回は、コレステロールによる科学実験を元に、コレステロールが人体にとって有効かどうかを考えていきます。

食べ物でコレステロール値は上がらない

コレステロールが身体に悪影響が生じるという説明は世の中の健康情報のほとんどに記されています。近年、ダイエットを目的としたパーソナルトレーニングも流行り、低炭水化物のレシピを薦められます。そのレシピであっても、「脂質は体に良い面もあるが、食べすぎると健康に害になる」と説明されます。

このように、食べ物で脂質を摂取しすぎないように説明されます。しかし、食べ物でコレステロールは上がらないといえます。これは、実際にコレステロールと血中濃度の関係を調べた実験により、説明されます。

まず、食べた物によってコレステロールが上がるという学説は1913年、ロシアの医学者であるアニスコフ(Anitschkow)が唱えました。その際に行ったの実験は、ウサギにコレステロールを食べさせて、血中濃度を調べた実験でした。

すると、実験結果は大動脈にコレステロールが沈着し、動脈変化が起こったという結果でした。これによって、「コレステロールを摂取すると、血中コレステロールが上がり、病気になる」という結論が出ました。

しかし、この学説には大きな問題がありました。それは、ウサギを使ったことです。理由は、ウサギは草食動物であり、コレステロールを含むエサを与えると、そのまま血液に残ってしまうからです。そのため、犬や猫を使って同様の実験を行いました。すると、犬や猫の実験結果は血中コレステロール濃度の上昇がみられませんでした。

犬や猫のような肉食動物は、小腸で吸収できるコレステロール量は決まっています。たとえ、多く摂取したとしても、血中での濃度は上がらず、大腸に流れて便として排出されます。上記のような実験結果から、肉食動物であれば、コレステロールを多く含む食べ物によって、血中コレステロールは上昇しないことがわかっています。

では、人の場合はどうでしょうか?人体の消化・吸収の仕組みは人は犬と猫のように肉食動物と近い構造です。したがって、食事によって血中のコレステロール値は高くなりません。

しかし、科学などの実験では「後世に伝わりやすいのは、一番最初に実験で実証された結果」であることが多いです。「疲れ物質の正体は乳酸である」「たばこはガンの原因である」なども同様に、最初に行われた実験がいまだに信じられています。そのため、日本の医療業界では、「コレステロールは悪」という説が浸透しています。

日本では、卵は一日一個まで、欧米のような肉中心の食事はだめという話をよく耳にします。そのため、日本人で肉や卵はあまり食べられません。ただ、人体に必要なコレステロールの75%は肝臓で作られています。その他は、コレステロールを含む食べ物から作られます。

もし、コレステロールの摂取を控えると、必要なコレステロールは肝臓が全て受けます。すると、肝臓が疲弊してしまい、機能が低下します。これによって、化学物質の解毒、必要なタンパク質の代謝反応、疲れ物質の元となる活性酸素の排除、その他毒素の排除の機能が下がり、様々な症状に悩まされます。

ダイエットしている人であれば、肝機能が下がれば、脂肪燃焼はできません。頭痛、アトピーで悩まされている人も肝機能の低下によって、症状改善が難しくなります。さらに、スポーツ選手であれば、筋肉を生産するのも、体作りにおいても肝臓が大切です。その肝臓の負担を減らすことは「コレステロールの元となる脂質を摂ること」であることを理解しておいてください。

コレステロールの摂取不足でガンの発症リスクが上がる

さらに、コレステロールの摂取をやめると、人体に悪影響を及ぼします。その一つとして「コレステロールの摂取不足によりガンの発症率が上がる」というものです。これは、「J-LIT(日本脂質介入実験)」による臨床実験からわかったことです。

実験内容は、総コレステロール数と生活習慣病(心筋梗塞、ガン)についての関係を調べたものです。全国、52541人を6年間追跡調査した大規模な実験んが行われました。その調査結果を見ると、以下のようなことがわかりました。

・コレステロール値は高くても低くても、死亡のリスクは上がる。むしろ、低い方がガンの発症率が大きくなる

さらに、ガンとコレステロールの関係だけを見ると、有名な研究で「八尾研究」があります。これは、大阪府八尾市で、1万人を対象に、コレステロールの数値によって、5つのグループに分けて、11年間追跡した記録があります。その研究結果では、最もガンで死ぬ可能性が高いのが、コレステロール値が最も低いグループでした。

その他に、コレステロール自体ではなく、低コレステロールを招く食生活がガンの発症理由では?と指摘されたこともありました。しかし、栄養素を不足しないようにコントロールした研究であっても、低コレステロールはガンの危険因子であることの報告も出ています。さらに、乳がん患者に対象にした調査を見ると、30,40歳代のかんじゃ のコレステロール値は同年代の健康な女性より低くなっていることもわかっています。

こうした理由として、コレステロールは細胞膜の材料となるからと強く推測されます。細胞膜とは、細胞の周りを覆う膜のことであり、細胞内の器官を守る組織です。しかし、コレステロールの摂取量が減少することで、細胞膜の組織が破壊され、細胞内の質が悪くなります。

このような、異常な細胞はやがて増殖してがん細胞になります。しかし、細胞膜の成分であるコレステロールが足りなければ、その細胞を再生させることもできません。これによって、がん細胞の増殖のリスクが増えると考えられます。

日本と欧米の死因を見ると、欧米は動脈硬化や心筋梗塞でなくなる方が多いです。しかし、日本はガンによる死亡者が一位であり、心筋梗塞と脳梗塞を合わせた死亡者数の2倍以上にも達成しています。この死因の大きな違いは日本の食生活が欧米と異なるからと言われています。このような事実からも、コレステロールの摂取は健康体を構築には非常に大切といえます。

コレステロールの長所をまとめる

さらに、これらを事実に、コレステロールの長所をまとめていきます。

・脳、細胞膜の材料
体内にある全コレステロール(約100~150g)の3分の一が脳にあり、60兆個の細胞の膜がコレステロールでできています。脳内のコレステロールは、神経伝達を円滑にするために欠かせない物質です。また、細胞膜は「肝臓」「脳」「脊髄」に高濃度に存在し、栄養の取りこみや老廃物の除去に欠かせません。

・血管の材料
人の血管(動脈、静脈、毛細血管)は全長約10万km(地球の赤道2週分)あります。血液は、その距離を一分で循環します。その際に、血管に柔軟性があることは、血圧の調整、栄養分の運搬など、重要な意味を占めています。

・その他:胆汁の材料
胆汁の役割は、脂肪を体に取り込みやすくします。胆汁は、ビタミンA、D、E、Kなどの脂溶性ビタミンの代謝反応に使われます。

1日で合成されるコレステロールの半分は「胆汁」に使われます。胆汁は必須脂肪酸(人の体で合成できない脂肪酸)の吸収を高めることができます。また、胆汁いよって、胆汁酸が生成され、小腸で吸収され、肝臓に戻って再利用されます。このことを腸肝循環といいます。胆汁酸は強力な殺菌作用があり、小腸内の細菌の増殖を妨げる役割があります。

このように、コレステロールは、身体に必須な材料です。そして、コレステロールの過剰摂取によって、血管中のコレステロール量が増加することはありません。脳、神経、細胞膜など様々な部位で必要な物質です。ダイエット、健康体の実現のために、積極的に摂取するようにしましょう。

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