これにより、体の疲れが取れにくくなったり、不調を患ったりします。その結果、健康を損なってしまうため、ダイエット効果を引き出すことができません。そのため、理想の体型を手に入れるためには、睡眠をしっかりとることが大切です。
スポーツの観点から考えると、睡眠をしっかりとることで、運動した体を十分に休めることができます。しっかり休めば体の回復が早くなるため、より負荷の高いトレーニングを行えるようになります。そして、多くの運動に取り組むことで、丈夫な体や筋肉を身につけることができます。
化学的に考えると、睡眠時間を削ると、脂肪をため込む方向に体の反応が進むようになります。
人の体には「レプチン」「グレリン」「オレキシン」という3つのホルモンがあります。レプチンは食欲を抑え、エネルギー消費を促す役割を持ちます。グレリンはレプチンと相反した役割を持ち、オレキシンは食欲の促進、運動量を増やす、興奮、覚せい状態を促す役割があります。
ダイエットを行うには、レプチンの分泌を増やし、グレリンの分泌を減らす必要があります。さらに、よく眠るためには、オレキシンの分泌が少ない方が良いです。しかし、寝不足になるとこれとは逆の状態に陥ります。
睡眠不足になると、レプチンの分泌が低下し、グレリンの分泌が促進されます。また、このときのグレリンの分泌増加により、オレキシンの分泌も増加することがわかっています。これによって、食欲がなくなり、余計に眠れない状態になるため、太った体型に近づいてしまいます。
より良質な睡眠を得る体使い
そのため、しっかり運動を行って脂肪を燃焼したら、しっかり体を休めることが大切です。しかし、多くの人は、良い睡眠を得るためにはどうすれば良いかがわかりません。早く眠りにつきたい、あるいはよく眠れるようになりたい場合、少しの工夫で睡眠を改善することができます。それが、首・背中のストレッチと呼吸です。
首のストレッチを行う理由は、日常生活、とくに仕事をしている人で凝っている箇所の筋肉をほぐすためです。このときにやわらげる筋肉は「胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)」と呼ばれるものです。
PCやスマートフォンを見ることで、姿勢が頭が前屈みになってしまいます。このときに、もっとも凝りが出て、またほぐすのが難しいのがこの筋肉です。
この筋肉は、咽頭から鎖骨にかけてついている筋肉です。元来、胸鎖乳突筋はストレッチするのが難しいとされてきました。しかし、科学の進歩につれて、ストレッチの仕方が少しずつわかってきました。
胸鎖乳突筋の次に凝りやすい筋肉が背中です。この二つの筋肉をストレッチすることで、心身の疲れをほぐすことがでいます。
心理学の世界では、精神的な安静を手に入れるためにストレッチすることは有効であると説明しています。また、人は筋肉を伸ばしてゆるめてあげることで安心し、精神的に落ち着くことがわかっています。
首はあらゆる方向に曲げることができます。まず、後ろに曲げてみましょう。後ろに曲げると頸椎(けいつい)が曲がります。その状態から首を左右に振ります。すると、首筋の左右の筋肉が伸ばされるのがわかります。これによって左右の胸鎖乳突筋を伸ばすことができます。
この状態で10秒間静止し、左右に交互に行いましょう。すると、首の凝りがほぐされていきます。仕事で最も疲れやすい首の筋肉をしっかり伸ばすことで寝る前にリラックス効果を引き出すことができます。
さらに、背骨のストレッチ法を覚えましょう。まず、四つん這いの姿勢になります。この状態でおなかを上に引き上げるように背中を丸めていきましょう。すると、背中周りが楽にほぐされます。次に、引き上げたおなかをもとに戻して今度は腰をそらすようにしましょう。こうすることで、背中周りの筋肉を伸び・縮みさせることができます。
首・背中のストレッチを行うときは、深い呼吸をしながら行うようにします。そのとき、吐くことを意識して呼吸します。深い呼吸を行うことで、睡眠を得るのに必要な副交感神経が優位に働きます。すると、精神が落ち着き、眠りにつきやすくなります。
このように、ダイエットを効率よく行うためには、良質な睡眠を得る必要があります。そのために、首・背中のストレッチを呼吸をしながら行ない、寝る前に心と体の凝りをほぐすようにしましょう。