グルテンフリー食事法により、脂肪の生成が抑えられる理由

ダイエットや健康体の構築の際に、グルテンフリー食事法を実践することは重要です。グルテンとは「小麦グルテン」のことであり、小麦製品、小麦加工製品に含まれています。近年、アメリカではファットフリー(無脂肪)ダイエット、糖質制限ダイエットを抜いてグルテンフリーダイエットを実践している人が増えてきています。

グルテンフリーがダイエット効果があるのは、「インスリンの放出量」を減らすことができるからです。インスリンとは、血糖値を下げる際に働くホルモンです。炭水化物などの糖質を摂取すると、血液中の糖質量が増加します。そのため、血糖値が下げるためにインスリンホルモンが働きます。

インスリンホルモンには、二つの役目があり、「糖質をグリコーゲンに変換することと糖質を脂肪細胞に変換することです。太っている人や健康でない方はインスリンの副作用によつ脂肪細胞の生産の影響を受けているため、糖質の摂取量を控える必要があります。

実際にグルテンをとらないだけでカロリーを気にせず、脂肪も気にしないで食べてもやせる人が多くいます。私の健康指導をしている人の中には、激しい運動をせず、グルテンフリー食事法を実践させただけで、体重がやせた人もいます。

では、グルテンを摂取することは、どのようにしてインスリンホルモンを下げるように働くのでしょう。生体内で起こる反応を紐解いていくと、グルテンフリー食事法がインスリンホルモンの発生量を調節するために大切な役割を持っていることがわかります。

そこで、今回はグルテンフリーにより、ダイエット効果が起こりえる理由について、生体内の反応を例に解説していきます。

・インスリンの放出には、糖質が関係している
・小麦グルテンの摂取により、脂肪をため込みやすくなる
・スポーツ選手は、小麦グルテンの摂取により、筋肉がつきにくくなる

インスリンが発生する流れ

まず、糖質を摂取すると、なぜインスリンホルモンが放出するかについて解説します。

最初に食事をすることで、体内の血糖値が増加します。つまり、血液中のグルコース(ブドウ糖)の量が増えます。このブドウ糖が膵臓に流れ、インスリンホルモンを放出するβ細胞に流れていきます。

食事をし、余った血糖値はグリコーゲンか中性脂肪に変換されます。このβ細胞には、ブドウ糖膜輸送担体(GLUT2)と呼ばれる物質が存在します。この物質によって、グルコースがβ細胞内に取り込まれます。取り込まれたグルコースは後にエネルギー物質であるATPを発生させる材料となります。

ATPの供給量が発生すると、細胞膜に存在するATP感受性K+チャネルに作用します。これによって、K+が細胞外から入る通り道がなくなります。これによって、細胞外と内で電位差が生じます。

細胞では、外側と内側で電気的なエネルギー量(正確には位置エネルギー)に差があります。この電位に差が生じることで、細胞内外に種々の陽イオンの出入りが行われます。例えば、細胞外にはナトリウム(Na)、塩化物イオン(Cl-)、カルシウムイオン(Ca+)細胞内にはカリウム(K+)が多く含まれています。

これらのイオンはATPによって、Naを外に出し、Kを中に入れる反応が進みます。これによって、生体内の活動の制御などが行われます。しかし、K+の出入りが阻害されてしまうと、細胞外の陽イオン(+の電荷をもつイオン)が外に出なくなります。すると、細胞内外で電位差が生じます。

そこで、細胞内外の電位差をなくそうとしてにカルシウムイオンが入ってきます。これが刺激となって、インスリンホルモンが生じます。まず、グルコースがB細胞に入り、それによって、エネルギーが供給され、カリウムが細胞外に出ていかなくなります。それによって、カルシウムイオンが細胞内に入り、インスリンホルモンが分泌されます。

小麦グルテンが血糖値が異常に増加させる

次に、小麦グルテンを摂取すると、腸内にいるカンジタ菌がそれをエサに増殖することがわかっています。カンジタ菌の増殖により、小腸の粘膜があれ、腸壁の構造を崩す「リーキガット現象」を引き起こします。

これによって、粘膜を通って血液中に毒素や最近が入りやすくなります。これが肝臓に来ると、肝臓で炎症反応が起こります。

血糖値が余ると、肝臓によってグリコーゲンか中性脂肪として蓄えられます。しかし、肝臓が炎症を起こすとインスリンの効き具合(インスリン抵抗性)が下がってしまいます。これは、B細胞からのインスリンが効かなくなり、血糖値の増加を抑えられなくなります。すると、大量のインスリンホルモンを放出するようになります。

すると、中性脂肪がたまりやすくなってしまうため、細胞が肥大化します。このように、小麦グルテンにより、肝臓の炎症を起こさせると、血糖値を下げる力が弱くなるのが、肥満になる大きな原因です。

スポーツ選手は筋肉がつきにくくなる

さらに、スポーツ選手であれば、小麦グルテンを摂取することで、筋肉がつきにくくなります。理由は簡単であり、血糖値が上がると、筋肉の周りに脂肪細胞がつきやすくなるからです。これらは、肥満やメタボリック症候群につながります。

筋肉量を増やすためには、筋肉に必要なたんぱく質を増やす必要があります。そのための仕事は肝臓が行っています。肝臓はタンパク質を体内から取り込むと、小腸でアミノ酸に分解され、肝臓によって各器官で使える形に合成します。

もし、肝臓が疲弊している場合、たんぱく質の合成が追いつかなくなります。使われなくなったタンパク質が体内のシュウ酸や尿酸と結合すると、尿路結石が生じます。あるいは、使われなくなったタンパク質が小腸に行くと、腸内の悪玉菌を増やす要因になります。

つまり、小麦グルテンは肝臓に大きな負担をかける食品です。本当に筋肉をつけたいのであれば、肝機能を高めて、タンパク質を摂らないといけません。そのためには小麦グルテンの摂取をやめなければいけません。

グルテンにより、GLP-1の分泌量が低下する

さらに、小麦グルテンによる悪影響の一つでGLP-1(glucagon-likepeptide-1)という物質の分泌量が低下することもわかっています。

この物質は、腸などの消化管に入った炭水化物を認識し、膜の上皮から分泌されます。そして、役割はインスリンの分泌を促進する働きを持ちます。同様の物質として、GIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)があります。

つまり、腸の粘膜自体が、炭水化物が入ってきたことを認識し、GLP-1を放出し、上昇した血糖値を上げるように膵臓(すいぞう、インスリンを放出する場所)とやり取りをします。しかし、小麦グルテンにより、腸の粘膜が炎症を起こし、GLP-1の分泌が低下すると、血糖値の上昇が直接つながり、肥満細胞を生み出します。

健康な身体はGLP-1が分泌できる

もし、健康な身体であれば、インスリンが分泌され続けることで、今度は低血糖になります。すると、分解酵素であるDPP-4が分泌され、GLP-1の働きを不活性にします。これによって、過剰なインスリンの増殖を抑えることができます。

現在、糖尿病の治療薬としてこのDPP-4の機能を下げる(阻害する)薬がたくさん使われています。もし、DPP-4の機能を下げれば、インスリンが一気に分泌されるため、血糖値が下がります。しかし、本来人間にはGLP-1の分泌をすぐに抑える作用を持っています。そのため、薬ではなく、食事によって症状を改善することも可能と考えられます。

小麦グルテンによって食欲が抑えられなくなる

さらに、小麦グルテンを摂取することで、PYYホルモン(Peptide YY)というホルモンが分泌されにくくなります。

PYYは小腸に多く分布しており、食物が入ってきたと認識すると、食欲が抑えられるように働きます。具体的には、PYYは消化管の運動(蠕動運動)を制御する働きがあり、これによって、満腹感を惹起します。

しかし、小麦グルテンにより、腸の粘膜に炎症を起こすとPYYが分泌されにくくなります。なぜなら、小腸下部から大腸にかけて存在するL細胞があり、この細胞によってPYYが分泌されるからです。PYYが分泌されなくなると、食欲が抑えられなくなります。食べても満足感が得られないため、食べすぎにつながります。

つまり、小麦グルテンをやめることによって、
・インスリンホルモンの大量放出を抑えることで、脂肪細胞の増加を抑えられます。
・GLP-1ホルモンの分泌低下を抑えることができ、インスリンホルモンの放出がコントロールできます。
・PYYホルモン(食欲を抑えるホルモン)の分泌低下を抑えられます。

こうした効用があるため、肥満細胞が発生しやすい状態を抑制できます。現在、肥満に困っている人は積極的に小麦グルテンを抑えるようにしてください。腸内環境が整い、脂肪生成を抑えるためのホルモンが効率よく働き、太りにくい体質に変わっていきます。

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