PC作業やスマートフォンを使う人には、肩凝りが多いと言われています。この理由は、PCやスマートフォンを眺めると、顔が前方に出やすくなるからです。顔が前方に出ることで、背中が丸まって猫背姿勢になります。その結果、肩に負担がかかって肩周りの筋肉が痛くなります。
近年では、スマートフォンを持つことで、顔が前方に出た状態を「スマホ首(スマートフォンを持った状態において、顔が前方に出て真っ直ぐに伸びた首のこと)」とも言います。そのため、整体師はスマホ首にならないように「気をつけてください」と説明します。
ただ、「仕事中にスマートフォンを使うとき、姿勢を気を付けてください」と一般人に薦めるのは無理といえます。なぜなら、仕事で集中してくると、画面をより見るようになり、首が前方に出てしまうからです。
ただ武道の観点から考えると、ただ精神的に「気をつける」ようにするのではなく、「首が前に出にくい」姿勢を作ることは可能です。その姿勢を取れば、無意識に首が前方に突出しないようにできます。
一般人は「首が前に出ないよう」に気にかけるのではなく、「首が前に出ない」姿勢と仕事中に身につける必要があります。それでは、どのようにすれば首が前に出にくいようにできるのでしょうか?今回は、背骨の仕組みから「スマホ首」にならない手法について解説していきます。
お尻とお腹を締めると、首が前に出にくくなる
PCの作業中に、首が前に出ないようにする工夫はいくつか存在します。その中の一つに「お腹を締める」「お尻を締める」ことが挙げられます。
お腹を締めるとは、具体的には「お腹をへこませる」ことです。お尻を締めるとは、太ももを外に開いてお尻を締める
試しに簡単な実験を行います。まず、立った状態からお腹と背中の力を抜いて脱力してください。すると、首が前に出しやすいことがわかります。
次に、お腹を軽くへこませて、両足先を外に開いてください。すると、お尻の筋肉を締めやすくなります。この二つの動作を取ると、首が前に出にくいことがわかります。このように、お腹とお尻を締めることで、スマホ首の原因となる「頭部の前方突出」を防ぐことができます。
この理由としては、背骨の中の「腰椎(腰を司る骨)」が真っ直ぐに整い、崩れにくくなるからです。
スマートフォンやPCの作業中、首が前に出やすくなるのは腰椎のねじれから起こります。座って作業をしている最中、背もたれにピタリと背中をつけていなければ、骨盤が後ろに傾きやすくなります。骨盤が後ろに傾くと腰椎も後ろに曲がってしまいます。
もし、骨盤と腰椎が後ろに傾いていると、体全体が後ろに倒れてしまいます。ここで、上体を安定するために、みぞおち~首にかけての背骨を前に傾けます。これによって、「猫背姿勢」「スマホ首」になってしまいます。
そこで、猫背姿勢を解消しようと良い姿勢を取ろうとします。ただ、ここで良い姿勢を取ろうとして「背筋を伸ばす」「胸を張る」といったことをしても、また元の猫背姿勢に戻ってしまいます。そのため、筋力を使わないで良い姿勢を構築しなければいけません。
例えば、私の場合、大学の研究室時代にPCで資料を作成する機会が多く、猫背姿勢になっていました。それを解消しようとして仕事をしているときは「背筋を伸ばす」「胸を張る」ことを意識していました。しかし、この意識を持ちすぎた結果、背筋を痛めたり、腰痛に悩まされるようになりました。
そのため、無駄に筋力を使わず、良い姿勢を構築するようにしなければいけません。先ほど述べた「お腹を締める」のは、市販や家にある「帯」や「手ぬぐい」を使えばだれでも行うことができます。「お尻を締める」作業は作業中に少し脚を広げる、立ち姿勢であれば、両足先を広げれば、筋力を使わず行うことができます。
女性でスカートを履いている方であれば、座り姿勢では前にタオルなどを入れて隠すようにします。立った姿勢のときは、両足さきを広げてどちらか片足を後ろに引くようにしてください。
すると、太ももが外旋(外に開くこと)し、両脚の隙間が狭くなり、脚が長くなります。これは、航空業界の世界であれば、スチュワーデスが立つときにこの立ち方を実践します。少し、足を開いて立つことは「お尻を締める筋肉の鍛錬」「脚の骨格を整え、長く見せる」などにつなげることができます。