仕事や生活において、考えすぎてしまうことはよくあることです。人には考えることが尽きず、あらゆる悩み方をしてしまいます。
例えば、自分の行っている仕事がうまくいくのか不安になったり、今より速く効率よく行うにはどうしたらいいかとさらに考えたりしてしまいます。すると、心にストレスがかかってしまいます。
そのため、悩んでしまった場合、心や体に負担がかからないようにするために、その対処法を知っておくことが大切です。
そこで、悩みが出た場合の対処法について解説していきます。
悩んで止まってしまったら、元に戻る
例えば、仕事をしていると成果やノルマ達成を求められるため、どのように仕事をこなしていけばよいかに悩みます。また、キチンと行っていたとしても、周りの人間との性格が合わなかったら、人間関係で悩みます。このように、今自分の行っている事柄から、すべての悩みをなくすのは非常に難しいです。
なぜなら、悩み事のほとんどは自分の中以外でも起こるからです。仕事がうまく進むかについては、自分だけで解決することは困難です。実際には、自分にかかわる業者や、チームの人の働きなどにも、自分の仕事に関わるからです。また、人間関係で性格が合うかは自分だけでなく、相手にも関わっているからです。
悩みを完全に解決することは難しいです。しかし、その悩みにとらわれて疲れてしまった体や心の負担を軽くすることはいくらでもできます。それは、「何かがあったらもとに戻る」という発想を持つことです。
例えば、海が目の前にあり、あなたが深みに潜っていったとします。悩み事を抱えている場合、多くの人はさらに「どうしたらこの問題を解決できるか」「こうすれば問題をなくすことができるのでは」と考えます。つまり、さらに深みに潜ろうとします。
すると、余計に息苦しくなり、アップアップな状態になってしまいます。さらに、悩んだ状態から抜け出せなくなり、悪い方向に行ってしまいます。この場合、息苦しさから解されるための手段はもう一度浅いところまで戻ることです。一度、自分が潜って楽に泳げていたところまで上がることで体は軽くなり、息も楽になります。
一度、前に進む気持ちをやめる
このように、一度自分の悩んでいた状態から、元の何も考えていなかったころにもう一度心を戻すのです。つまり、「こうしよう」、「ああしようと」考えて前に進もうとしていた気持ちを全てなくしてしまうのです。すると、悩み事への負担が軽減されて、心が軽くなります。
すると、自然と「もしかしたら、このように動けばよかったのかな?」と新たな考えが出るようになります。つまり、落ち着いたところから、客観的に考えられるようになるのです。人は、心が安定した状態の方が、現実的でうまい解決案が出ます。
悩みとの距離を置くことの大切さ
人は悩んだ方が成長できる、または忍耐強くなれると思いがちです。しかし、その発想は自身をさらに深みに陥れ、元に戻れなくなってしまいます。ひどい場合は、トラウマやコンプレックスが起こり、その人が生きる上で厄介な足かせになりかねません。
例えば、自分自身が暮らしていて好きな趣味、友達がいるとします。その趣味をやっていたり友達と話しているときは間違いなく何にもとらわれていない状態になっています。そのときの感覚まで自分の状態を戻すのです。
心が悩み始めたら、その状態から距離を置く気持ちで好きなことを行なったり友達としゃべったりするのです。
自分のとらわれていない時間を少し持つと、体の緊張がとれて、正常な思考や自分の本当のやるべきことが見えてきます。すると、今悩んでいる問題に対して落ち着いて立ち向かうことができます。
初心に帰ることの重要性
私は、武道において一流と呼ばれた人の動きを再現させるため、相当苦心をしました。弓の世界では、引き方がうまくいかないと高い確率で関節に痛みが出てしまいます。
そのときに、多くの人は「もっと楽な弓の引き方」を望むようになります。つまり、何とか解決しようと悩みに取りかかろうとします。すると、姿勢から弓の持ち方がおろそかになり、ただ弓を引くときであってもあれこれやろうとしてしまいます。すると、どんどん弓の荷重に対して耐えられる体の構えから離れていき、さらに関節に痛みを招きます。
人によっては、これを「道」だ「精神修養」だと思い、さらに稽古をしようとします。すると、痛み止めの薬を飲んだり、注射を打ったりして稽古をしようとします。しかし、そのように悩めば悩むほど、解決に至る本質的な部分からはずれていき、いつしか弓が引けない体となってしまいます。
その場合、「何かあったら立つ姿勢に戻る」という発想があります。つまり、弓の引き方に悩んでしまったら、あれこれ考えた発想をすべて捨てて、もう一度立つ姿勢から自分の引き方を再構築するのです。すると、腕や肩に緊張が獲れて、元の負担のない引き方を自分で思い出し、現状の問題を速く察知することができます。
一流の営業マンの多くは数多くの本を熟読し、実際に成果を残します。しかし、そのような人がいきなり難しい専門書の知識を頭に入れていったわけではありません。最初は深いところから入らず、「本を手にとってみる」、「とりあえず数ページ眺めてみる」といった簡単な行動から始めます。
このような思考法を「ベイビーステップ」と言います。難しいことから先にやろうとすると、多くの仕事が進みません。やることが多く、調べることが億劫になるからです。そこで、赤ちゃんでも行えるくらいの簡単な作業まで仕事のハードルを下げて行うとします。すると、心理的な負担が軽減されて、悩んでいたときに思いつかない気づきや発想を得ることができます。
このように、人は悩んだときに問題をさらに深い部分まで掘り下げようとします。すると、心に負担がかかり、余計に悩みに捉われてしまいます。一度、とらわれていた発想を全て捨てて、元の状態に戻ってみましょう。すると、心が落ち着き、解決の糸口をつかむことができます。