運動中に起こる4通りの姿勢の崩れ方と解消法

仕事や生活において、年齢を重ねると腰痛、肩こり、慢性疲労などの症状を抱えることがあります。その中で、健康管理、姿勢などを勉強し、身につけることは大切です。

そして、慢性的な腰痛、肩こりの解消には、「姿勢」の構築が必須です。どのような症状でもいえることですが、ほとんどの身体の症状は姿勢の崩れから来ています。

例えば、腰の痛みは腰椎の歪み、肩こりの痛みは頸椎の歪みから来ています。この他に、消化機能の低下は胸椎の崩れ、眼の機能低下も頸椎の崩れから来ています。このような、身体の健康には、姿勢が大切であるといえます。

そこで、身体に負担のない姿勢を構築することは大切です。そこで、武道の世界では、大きく4つの姿勢の崩れ方があるといわれています。そして、各姿勢の崩れを特特徴から理解し、改善をはかっていくことが大切です。

あなたの慢性的な不調に悩んでいる場合、姿勢の崩れを理解し、対処法を学ぶことで、本質的な改善をはかることができます。そこで、今回は、武道で知られる4つの姿勢の崩れの崩れについて解説していきます。

武道で知られる五胴について理解する

姿勢の崩れとは、「骨の歪み」ともいえます。骨はコラーゲンとカルシウムなどの種々のミネラル、生体内の水によって構成されている無機物です。これらの成分が低下すると、骨自体の構造が歪むことがあります。

ただ、現代人で健康に影響に出ている方の場合、関節同士の歪みから起こっています。人体には、背骨、肩関節、股関節など運動機能、生体機能に関わる大切な関節があります。これらの関節に歪みが起こると、身体の不調が起こります。

そこで、武道の世界では、「五胴」と呼ばれる5つの姿勢の状態を説明したものがあります。これらの身体の状態を以下に解説します。

 屈む胴(俯す)・・・腰が張らず上体が前に突き出る。
 反る胴(仰ぐ)・・・上体が反り返っている、肥えた人は仰ぎがちになる
 掛かる胴(懸る)・・両足の中央に垂直に立つべき胴体が左の方に傾いている。
 退く胴・・・胴体右の方に傾くいている状態。
 中胴・・つりあいのとれた真っ直ぐな胴。

つまり、背骨には、4つの崩れがあります。背骨が、「反った」「屈んだ」状態、「左右に傾いた」状態、合わせて4つあります。そして、これら4つのどの状態でもない、背骨がまっすぐに伸びた状態が理想であり「中胴」といいます。

これらの姿勢の状態は、弓道の世界では「弓を引いている状態」で起こります。しかし、一般人の場合、これらの状態が日常生活で起こっている可能性があります。

姿勢の崩れによって起こる身体の影響

それでは、このような4つの姿勢の崩れによって、どのような身体の症状の影響が起こるでしょうか?大きく分けて2つあります。

一つは、関節の痛みです。関節のズレが起こると、地球上の重力に対して、かかる負担が偏ります。もし、どこか一部に不均一に負荷がかかると、その部位に痛みが起こります。

もう一つは内蔵機能の低下です。脳には、自律神経と呼ばれる太い神経の線が背骨を介して通っています。これらの神経は枝分かれし、各内蔵器官につながります。もし、生活習慣の崩れ、栄養摂取の偏りが起こると、内蔵器官が疲弊します。すると、その周辺にある筋肉、神経に強い緊張が起こります。これによって、身体の姿勢自体に崩れが起こります。

姿勢が崩れているということは、関節、内蔵のどこかに不調を抱えている可能性があります。もし、あなたが身体についてどこか不調を抱えている場合、それは姿勢の崩れから起こっている可能性があります。

4つの姿勢の崩れを確認するには

では、これら4つの姿勢の崩れをどのように確認すれば良いでしょうか?これについては、簡単な実験で確認することができます。

背骨が反っている、屈んでいるかの確認方法として、「その場で目をつむって歩く」ことが上げられます。目をつむってその場で30秒程度歩いた場合、前方に進んでいた場合、背骨が反っている可能性があります。反対に後ろに進んでいた場合、背骨が後ろに屈んでいる可能性があります。

次に肩の高さの違いの確認法です。これは、自然と立ってもらい、肩の高さを目視で確認します。あるいは、自分の指先で確認するのも一つの方法です。指先が下に下がっている方が肩が下がっている状態になっています。

そして、こうした背骨のズレ、両肩のズレから考えると、以下の4つの姿勢の崩れ方があることがわかっています。

背骨……後ろ、前に反る(反る胴・屈む胴)
両肩……左右の肩のいずれかが上がる(懸る胴、退く胴)

左右の肩の位置が高くなる理由

では、こうした身体の仕組みに基づき、なぜ、両肩がずれてしまうでしょうか?この理由について解説していきます。

関節の観点から見ると、「右脚の長さが短くなっている」「右骨盤の位置が下がっている」「右肩周りの筋肉が緊張している」ことが挙げられます。

そして、内蔵的な不調として、胃袋、肝臓の機能の低下が起こり、その周りの筋肉が緊張してしまい、上がってしまうことがあります。胃袋が疲弊し、緊張すると、左肩が上がります。反対に、肝臓が疲弊すると、右肩が上がります。

両肩のズレにおける「脚の長さ」「骨盤の高さ」は後天的な環境によって、起こると生じます。そのため、短くなった側の脚の筋肉のストレッチを多くする、下がっている側の体側をきちんと伸ばす体操を行いましょう。これによって、歪んだ骨盤の位置が整います。

背骨が反る、屈む歪みが起こる原因

背骨が反る、屈むが起こってしまう原因として以下の原因が挙げられます。

反る……骨盤が前に傾いている
屈む……頭部が前に出過ぎている

背骨が反る大きな原因として、骨盤が前に傾くことで生じます。次に、屈んでしまう理由として頭部が前に出過ぎて、頸椎がまっすぐになってしまって(ストレートネック)になってしまっていることが挙げられます。

骨盤が前に傾くと、前に傾いた上半身を垂直に立たせようと運動が起こります。これによって、背筋が張ります。次に、頭部が前に傾く事で、頭部を持ち上げようとして首の後ろ、肩の筋肉が張ります。これによって、腰痛、肩凝りが起こってしまいます。

上体が反りすぎる人は特にやせ形、女性に多いです。反った姿勢は胸周りの筋肉が緊張しやすく、呼吸が浅くなる、上半身の上部に力が入りやすいといった欠点があります。

この対策方法として背骨を反らしたり屈ませたりする体操を行いましょう。具体的なポーズとして、「ネコのポーズ」を行うことが挙げられます。ネコのポーズとは、四つん這いの姿勢を取ります。次に、 息をはいてその姿勢から背中を丸めるようにします。次に、息をすって背中を反らせます。これによって、背骨についたそりを取ることにつながります。

左右対称、前後に偏りのない姿勢を構築するために

以上のように、姿勢には4つの姿勢の崩れがあります。そのために、肩や背骨を体操で動かし、歪みを取るようにしましょう。

さらに、左右対称に、さらに前後に偏りのない姿勢を構築するために、どのような姿勢を取れば良いでしょうか?これらの具体的理由について解説していきます。

「膝裏の筋肉は伸びない」ようにする

まず、少し膝関節をほんの少し曲げる気持ちで膝関節の力を抜きます。次に、首を伸ばして両肩を落としながら、足裏の重心を土踏まずではなく「足首関節」くらいにして、この体勢を取っている最中、常に首は伸ばし続け、肩を落とし続けます。

すると、お尻から腰回りにかけて張っていた筋肉の緊張が取れます。これによって、大きく反っていた腰を真っ直ぐに立てた状態に修正できます。

膝裏が張ると、太ももの裏側、背中の筋肉が張りやすくなります。これによって、身体の重心が前に行き過ぎてしまいます。これが、上半身に緊張が伝わってしまいます。

すると。生活や運動中に、腰に負担がかかりやすくなります。そのために、膝から下の筋肉をゆるめるように、少し膝関節の力を抜きましょう。膝関節を少し楽にすると、前傾した骨盤を垂直に立てやすくなります。骨盤が立つことで、上体の重みが足裏の一部分に偏ることなく、全体に均一に乗るようになります。

この姿勢を弓道の世界では「ひさこ腹」と言います。

もし、「胸が緊張する」「左肩が上がりやすい」という人は上記の姿勢の取り方を実践してみましょう。射の最中に胸周りの筋肉が緊張しにくくなります。これによって、上半身が楽になり、弓を引きやすくできます。さらに、緊張が少なくなるため、落ち着いて動作が行えるようになります。

あごを引く

逆に背骨が曲がって、胴体が屈んでいる人は「頭部」の位置がずれやすくなります。その場合、立った姿勢から少しアゴを引いて、首を10センチ上に伸ばすように首を伸ばしてください。

あるいは背中を少し起こすイメージで立ちましょう。これによって、屈んだ姿勢から、胸周りが楽になった自然な前傾姿勢になります。

アゴを引くことで、頭の位置が後ろに下がります。背中が屈む人は首が普通の人より、頭が前に出やすいです。頭部が前方に出てしまうと、胸郭の上部が圧迫されてしまい、負担がかかってしまいます。これによって、腕を動かす動作や呼吸運動に悪影響を与えてしまいます。もしも、屈みやすい姿勢の場合、あごを引いて、首の後ろを伸ばすように心がけます。

両肩のぶれを抑える方法

次に、両肩のぶれをなくす方法について解説していきます。胴体が左右に傾いてしまう人は上半身全体の筋肉に締りがなく、ゆるんでしまっています。そのため、姿勢が右や左に傾きやすくなっています。

このような場合、脚を少し広く踏むと、両肩が真っ直ぐに整いやすくなります。

まず、両足を肩幅に踏みます。この状態では、上半身の筋肉がゆるんでしまい、両肩の線がぶれやすくなります。そこで、さらに左右ともに一足分広めに踏んで、両肩を落としましょう。

これによって、左右の肩がそろいます。両肩がそろうと、上体の重みが下半身にしっかり乗り、上半身の無駄な力みがとれるのがわかります。

この姿勢を普段からとって両肩の線がそろっている状態を体に覚えこませましょう。すると、肩が落ちて、左右にぶれのない姿勢に整ってきます。

まとめ

以上の内容をまとめます。

・姿勢の崩れには、「背骨の反る、屈む」「左右の肩のいずれかが上がる」の4通りあります。
・ それぞれの歪みは、普段の生活における関節、筋肉の崩れ、内蔵の不調によって起こります。
・対策方法として、「膝裏をほんの少し曲げる」「頭部を引く」「両脚を広く踏んで両肩をそろえる」などがあります。

このように、普段の生活によって、4つの姿勢のずれ方があります。それぞれの原因、歪みを正し、内蔵の負担や筋肉の負荷をへらすようにしてください。

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