浅い呼吸を深くするための姿勢の整え方

社会人になると、普段の姿勢が崩れてしまい、仕事中に腰痛や肩に不調を抱えてしまうことはよくあります。それだけではなく、姿勢の悪さから、心的ストレスを抱えてしまうこともよくあります。例えば、姿勢が悪くなって、上半身全体の筋肉が緊張すると、呼吸が浅くなってしまいます。

呼吸が浅くなると、あらゆる弊害があります。例えば、心が落ち着かなくなったり、力みやすくなったりします。武道の世界では、「呼吸」がとまると、力みが生じて動きが悪くなることはよくあります。弓を引いたり剣を振るときに息を止めていると力が入ってしまいます。

そのため、こういった弊害を緩和するために「呼吸」を深くすることは大切です。ただ、専門家を含め、多くの人は呼吸を深くしましょうとアドバイスするだけです。このように、強く呼吸を深くしようと思っても、日常生活で常に深く呼吸できるようにはなりません。なぜなら、武道を含め、日常生活において、呼吸は意識して行うものではないからです。

そのためには、呼吸以外に、「姿勢」を変えることで、呼吸しやすい状態を作ってあげることが大切です。ここでは、武道の体の使い方から、深呼吸しやすい姿勢の作り方を解説していきます。

<h3> <strong>ひさこ腹の姿勢を実践する</strong></h3>
何か動作を行うとき、呼吸をとめてしまうと体が緊張しやすくなります。かといって、深呼吸を繰り返しているとおなか周りの筋肉を無駄に動かしているため、疲労感が出てしまいます。

そのため、意識的に深呼吸を行うのではなく、自然と深呼吸ができる姿勢を理解することが大切です。武道の世界では、深呼吸しやすい姿勢は頭から胸が真っ直ぐ立っていて、お腹周りにどっしりのっている姿勢と言われています。これは、「ひさこ腹」といわれます。
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この姿勢の特徴は「胸が落ちていること」と、「おなかが膨らんでいること」です。胸が落ちているとは胸の筋肉が緩んでいることをあらわします。胸の筋肉が緩んでいると、肺の収縮運動がしやすくなります。それによって、空気を多く取り込むことができます。

さらに、胸周りの筋肉がほぐれていることで、上半身の重心の位置が下に落ちます。人は重心が上に上がりすぎていると、肺を使って呼吸することになるため、浅い呼吸になりやすいです。しかし、重心が下に下がっていると、肺ではなく、お腹を使って呼吸することができるため、それによって、深く呼吸することができます。

剣術の達人、宮本武蔵はこの姿勢をとっていたといわれています。アップル社の創始者である「スティーブジョブス」の愛読書の「弓と禅」の登場人物である阿波研造氏は、弓を引く姿勢でひさこ腹の姿勢を重要視していました。「ひさこ腹」はあらゆる武道の達人が実践したものであり、日常生活で実践すべき姿勢とも言えます。

<h4><strong> ひさこ腹の姿勢を身につけるための指の使い方</strong></h4>
そして、ひさこ腹を身につけるための方法を紹介します。そのためには、肩と指の整え方を理解する必要があります。

まず、次のように指を使うと、ひさこ腹の姿勢に近づけるための腕を作ることができます。<font color=”#0000ff”>小指と親指を寄せるように近づけます。これにより、自然と手の甲は丸くなります。</font><span style=”color: blue”>この動きに合わせて人差し指を上に向けるように軽く曲げると親指がさらに下に向き、手のひらの中に入るようになります。</span>
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すると、人差し指、親指、小指で三脚の形ができます。この手の形を弓道の世界では、「三角の手の内」とも呼ばれます。

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この形を作ったら、次に両肩を落とすようにしましょう。肩を落とすときに、親指を地面に向けるようにすると、より肩が落ちます。すると、胸周りの筋肉がほぐれて、リラックスさせることができます。

そして、肩を落とすことで、お腹周りに体重がズンと乗るようになれば、完成です。これは、横隔膜が下がり、上半身の重みが腸周りにしっかり乗った証拠になります。横隔膜は、小腸の上にあり、肺が収縮するときに関わる部位です。

横隔膜の位置が上に上がっていると、上半身の重心が下に下がりにくくなります。その結果、呼吸が浅くなってしまいます。そして、人は平静で落ち着いた状態のとき、横隔膜は下がっています。

上記のような姿勢を取れば、不安感に襲われたとしても、体は落ち着いたときの姿勢を取っているため、心が揺れにくくなります。意識して息を吸ったり吐いたりしなくても、自然と息が吐きやすくなっているのを感じることができます。

武道の書籍の本を見ると、明日切腹だと言われているのに、平静で落ち着いて寝ている侍がいたという話があります。このような侍は常に横隔膜が下がり、お腹が膨らんだ姿勢をとっていたとされています。このことを「腹が据わった人」と言います。

精神的負担を抱えたときは、呼吸が浅くなりがちです。そのため、「呼吸」を深くすることは大切です。ただ、日常生活において、呼吸は意識して行うものではないため、無理に深く呼吸をしようとすると、体に疲労感が出てしまいます。そこで、武道のひさこ腹の姿勢を取るように心がけましょう。横隔膜が落ちて、深呼吸しやすい姿勢を作ることができます。

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