仕事ががんばり続けると、身体はあらゆる症状に悩まされます。疲れ、腰痛、膝痛、肩こりなど身体の不調に悩まされます。そこで、普段から健康的に過ごすためには、身体の仕組みを理解する必要があります。
身体の不調を元から直すためには、自分の体の一部が悪くなったときに「なぜ、その部位が悪くなってしまったのか?」ということを深く突き詰めることが大切です。なぜなら、身体の痛みは、その部位から来ていない場合があるからです。
身体が不調や痛みを患うときに、その部分以外に目を向けることで根本的な解決策を見いだすことができます。例えば、膝が痛くなった場合、「膝」ではなく、足首や腰といった部位に目を向けることで別の原因が見いだすことができます。
そこで、今回は、身体の痛みを根本から直すための思考法を解説していきます。
ある体の部位のねじれによって他の部位が悪くなる
人の体は独立して各部分が動いているわけではありません。全ての「臓器」「関節」「筋肉」がつながり、連動して動いています。
そのため、身体はある部分にゆがみが起こると、歪んだ箇所とは別の部位に異常が表れる性質を持っています。
例えば、腰の関節(腰椎)がねじれると、膝の関節にも異常が現れます。そのため、ランナーやサッカー選手に起こる膝の痛みは膝自体ではなく、腰である場合があります。
あるいは、普段立っている姿勢に問題がある可能性があります。例えば、重心がかかとや小指側にかかっていると、腰はねじれを起こしやすくなります。
この他に胸のねじれによって、肩も異常を起こします。左右の胸郭(きょうかく)にある器官が圧迫されて、その周りの筋肉が張るからです。これによって、上部についている肩の筋肉にも凝りが起こっています。
座っているときに脚を組んで座りたくなる人は骨盤の高さがずれている人います。これによって、首の関節にも不正が起こります。すると、「鼻」「耳」「頭」といった部位に異常が起こり、あらゆる不調を発生させます。
体全体が左にねじれると消化器系に影響が出ます。左側にねじれると呼吸器系が悪くなります。両足の重心のかかりが不均一だとそれぞれの脚に悪影響が出ます。重心がかかっている側の足は、ふくらはぎが吊りやすくなります。かかっていない側の足は捻挫しやすくなります。
このように、人の体はある部分が悪くなると、別の部分にも影響が出るようにできています。つまり、不調が起こりえる原因は複数存在していることがわかります。
アキレス腱痛の本質的な原因
スポーツをしている人で、アキレス腱をいためてしまう人がいます。多くの人は、「アキレス腱自体に原因があるのでは?」と考えがちです。ただ、アキレス腱の痛みも身体のねじれによって生じます。
具体的には、身体がねじれて左右の体重のかかり方が不均一になることで生じます。
身体にねじれがない場合、体重は左右の足に均等にかかっています。しかし、普段の生活で関節の歪みが起こると、左右の足に体重が不均一に乗ります。例えば、座っているときに脚を組んだりしたときです。
このような動作を続けていると、腰や肩の片側に体重が乗りすぎてしまいます。すると、左右均等に体重がかかりにくくなります。
体重の不均一な乗り方を見極めるのは「靴のすり減り方」で理解できます。関節が歪み、体重の乗り方が不均一になると、普段使っている靴のすり減り具合も変わります。例えば、右足に体重が乗りすぎている場合、右足の靴のすり減り方が速くなります。
アキレス腱や膝を痛めやすくする原因を理解する
例えば、ゴルフのスイングをしただけで、アキレス腱を切ってしまう人がいます。また、ジョギングをして、アキレス腱を痛めている人もいます。こうした原因も身体のねじれによる、重心の乗り方から問題ができています。
人の体は短くなっている方の足に体重がかかりやすくなります。そして、そちらの足を使い過ぎてしまうため、筋肉が縮みやすくなり、弾力性がなくなってしまいます。その結果、アキレス腱を切りやすくなります。これは、膝の痛みに関しても同様のことが言えます。
こうした脚の短さは、腰の位置を見ることで確認できます。人は一方の足が短くなっているとき、腰がどちらかに歪んでいることが多いです。
このように、重心が左右どちらかに偏っていると、足の故障を起こしやすくなります。重心の偏りをなくすこと、またそのために上半身に無駄な力みをなくして、足にかかる負担を軽くしてあげることが、足の故障の予防につながります。
内蔵器官の痛みによって、筋肉に不調を抱える
さらに、人の体の痛みは筋肉の痛みだけではありません。体の内部にある内臓器官によっても、身体の痛みが発生することがあります。
体の不調を取り除くとき、多くの人は関節や筋肉に目を向けます。症状が出ている体の悪くなっている部位の関節や筋肉の状態を見て、その部位のゆがみや凝りを直そうとします。
ただ、関節や筋肉以外にも身体の不調を患うことがあります。それが「内臓器官」です。
体の中には、体中に血液を送りこむための「心臓」や食べたものを消化するための「胃」があります。これらの内臓器官の働きが悪くなることで、筋肉や関節に不調が起こることがあります。
例えば、肩凝りは筋肉や関節以外に心臓や肝臓の働きの低下によって起こります。肝臓の働きが悪いと右肩が、心臓の問題では左肩が凝ります。これは、心筋梗塞のような、明らかな病気があるということではなく、ただ単に働きが悪くなっているだけでも起こります。
また、物忘れが多くなったりするのは腎臓の働きが関係しています。腎臓は体内にある毒素を排出する役割があります。この働きが悪くなると毒素が体内に残ってしまい、血液内に毒が周ります。すると、神経の働きがにぶるため、頭を使う作業がしにくくなります。
このような問題に対しては、姿勢を整えることで、各内臓の働きを良くすることもできます。しかし、内臓からくる体の不調の場合は、根本的に解消するためには、食生活を変えることが必要になってきます。
内臓の働きを調整する呼吸法
ただ、体の動きを調べると、食生活を変える以外に内臓器官の働きを調節する方法があります。それは呼吸をすることです。
人には、感情の起伏や揺れを調整する神経として「自律神経」があります。呼吸は自律神経を整える作用を持っているため、呼吸をうまく使うことによって心臓の動きを調節することができます。
さらに、呼吸によって体内に多くの酸素を取り込むことができます。酸素は体内においては、各器官を動かすためのエネルギーとして働きます。そのため、適切な呼吸によって各器官の活動を促すことができます。
呼吸を行うときは、「吐く方を長く」ということを意識してください。吐く意識を強く、肺の空気を空っぽにするようにします。すると、吸う息は自然と大きくなります。現代人はストレスや精神的な焦りから、呼吸が浅くなっています。意識的に空気を吐ききることで、浅い呼吸を改善することができます。
風邪の原因は身体のねじれから生じる
仕事をがんばりすぎることで起こる症状として、「風邪」があります。風邪の症状の原因として、日々のストレスによって起こることもありますが、「身体のねじれ」によって起こります。
風邪ひき体質になっている人は、身体のねじれを確認するようにしましょう。具体的には、身体がひだりにねじれると、風邪を引きやすくなります。人は体が左側にねじれていると、喉が痛くなったり咳が止まらなくなったりします。
これは、体の左側が呼吸器系の器官と強く関係しているからです。
身体にゆがみがあると、その部分だけでなく、身体の他の部位にも異常が表れます。体の右側のねじれは、消化器系の不調と関係します。そして、左側のねじれは呼吸器系に影響を与えます。
普段の姿勢が悪かったり、疲れていて筋肉がこわばっていたりすると、体が歪んでしまう可能性があります。そのときに、左側にねじれると、呼吸器系に悪影響が出てしまいます。また、背中の筋肉が固くなってしまうと、骨盤にねじれが起こりやすくなります。
呼吸器は「鼻」と「喉(のど)」、「気管支(きかんし)」に分かれます。体が左側にねじれると、これらの部位の異常をきたします。その結果、あらゆる風邪の症状が表れます。
この姿勢に合わせて、骨盤が後ろに傾いていた猫背の姿勢をとったとします。これによって、腰に力が入りにくい姿勢になり、アゴが前に出やすくなります。すると、首・肩の凝りがひどくなり、鼻への血行が悪くなります。その結果、鼻のうっ血や、炎症を起こしやすくなります。
また、立っている場合は、小指側に重心がかかっているとこの症状が起きやすくなります。
風邪を引いている人の中には、咳がなかなか治らない人がいます。この原因は腹部の力が抜けていることが原因です。腹部の力が抜けると、胸がちぢみやすくなります。その結果、咳が止まりにくくなります。
この他に、喉の痛みには首と肩が関係しています。首・肩の筋肉が凝っていると、喉に異常をきたし、腫れてしまいます。
風邪の症状は様々です。しかし、それらの根本的な原因は「左側のからだのねじれ」と「骨盤の後傾」、「首・肩の凝り」の3つに集約されます。
身体のねじれを抑えるには
いかがでしたでしょうか?身体のねじれが生じることで、身体のあらゆる症状表れることが理解できます。ここまで述べたように、身体の本質的な改善を行うためには、身体のねじれが出ると、他の部位にも影響が出てしまうと理解する必要があります。
そして、どのような人でも身体のねじれを取り去るために必要なことがあります。それが「姿勢」です。身体をねじれにくくするためには、上半身の姿勢を適切にとることを考えなければいけません。そこで、上半身の力みをほぐす順番を理解し、姿勢を構築することが大切です。
最初に、首の筋肉をゆるめることを考えましょう。そのためには、首の後ろ側を伸ばして、肩を落とします。少しあごを引くと、頭部が後ろに引かれ、伸びやすくなります。すると、両肩が落ちやすくなり、結果的にねじれにくい姿勢を取ることができます。
常に、首を伸ばすことを第一に、上半身を真っ直ぐにするようにしましょう。そうすると、体にねじれが起きにくくなります。また、肩落とすことで、胸周りの筋肉をほぐすことにもつながるため、風邪に強い姿勢作りを行うことができます。
そして、この状態で生活するようにしてください。立つとき、歩くとき、仕事するとき、常に首を伸ばすことを意識し続けます。これによって、首関節にかかる負担が軽減され、腕や脚の運動量、活動量が向上します。さらに、精神状態や気持ちの安定につながります。
これによって、身体の動きや状態が変わり、健康な身体へと導けます。
以上の内容をまとめます
・ 身体がねじれることで、他の部位に症状が現れる
・ アキレス腱の痛みは身体のねじれによる重心のズレによって起こる
・ 風邪を引く原因も身体のねじれによって起こる
・ ・内蔵の不調によって、筋肉の痛みが発生する
・ 呼吸、姿勢を変えることで、身体の不調を改善に導ける
このように、身体がねじれることで、他の部位の症状が起こります。あるいは、筋肉以外に、内臓器官の影響によって、身体の不調が生じます。そこで、姿勢を正し、呼吸動作を行うことで、身体の不調を改善するようにしましょう。