年齢を重ねると、身体の不調に悩まされる肩は多くいます。その中で、「腰」に不調を抱えている人は数多くいます。現代では、肩こり、腰痛は慢性病とも言われており、改善するのが困難な症状であるといえます。
なぜ、腰痛は直しにくいのでしょう?その理由として、薬やマッサージを行っても症状がよくならない場合が多いからです。一時的に痛みが柔らかくなっても、そのあとの生活で痛みが再発することがよくあります。そのため、腰痛を治すためには、身体の仕組みに基づき、本質的に改善していく意識を持たなければいけません。
その中で、腰痛になりやすい要因として、「重心のずれ」と「腰椎のずれ」が挙げられます。人は、日常生活で姿勢が悪くなったり、仕事をしすぎたりすると、腰の重心や関節に歪みが起こります。こうしたゆがみが起こると、腰回りにある血管や神経が圧迫されます。それによって、痛みや筋肉のだるさが起こります。
つまり、重心にのずれを改善することが、腰痛の本質的に改善する方法といえます。普段座り作業中心で腰を動かす習慣がない人であっても、身体のゆがみを取り去ることはできます。現在、腰の痛みやだるさに陥っている人は、ゆがみを取り去ることで、確実に腰の痛みを改善できます。
そこで、今回は、腰痛に関して身体の重心やねじれの観点から、痛みの原因や対処方法を解説していきます。
腰痛の原因は重心のズレと背中の筋肉
腰痛は、スポーツにおける怪我などの外的な疾患のほかに、内的疾患からくるものもあります。あるいは、仕事や人間関係の精神的ストレスから腰が痛くなる場合があります。その中で、多くの方は痛い方に腰の関節がねじれていることが原因になっています。
腰痛になっている人の多くは、痛い方に体がねじれ、そちらに重心がかかっています。例えば、左腰が痛い場合は、腰椎(ようつい)が左側にねじれています。他に、普段の姿勢で、背筋を張りすぎて、背筋が硬くなっている場合は、腰椎が前方にねじれ、前方に重心がかかっています。
このように、腰椎の重心がある方向に傾くと、その周辺にある血管や神経が圧迫されます。それによって、血流低下を起こし、腰椎に栄養分が届かなくなってしまいます。すると、痛み物質(ヒスタミン、ブラギニン)を流すことで「ここは血流が低下しているよ」と合図を送ります。このような身体の反応パターンにより、腰痛を招きます。
このようなねじれは、薬を飲んだりマッサージをしたりしても改善することはありません。薬は血液内にある炎症物質を抑えたり、必要な栄養分を補充されるだけです。マッサージは筋肉をほぐすだけで、関節を整えることはしません。つまり、重心のずれによる血管や神経のつまりが取れることがないため、痛みは続いてしまいます。
社会人は腰に負担がかかりやすい
そして、社会人でデスクワークをされている方が特に、腰のだるさや痛みを抱えます。なぜなら、座り姿勢は、腰椎に大きく負担をかける姿勢だからです。
腰は5つの頸椎と呼ばれる骨がつながってできています。この腰椎はねじれや重心のずれがないときは、それぞれ負担なく、上方に積み木が積み重なるように乗った状態になります。この腰椎間にねじれが起こると、体に不調や疲れが生じます。
そして、腰は人体において最も負荷のかかりやすい部位です。例えば、腰椎は、上から1~5番と番号をつけられます。たった状態では、腰椎の1番目(もっとも高い位置にある腰椎)腰の上には腹、胸、肩、首といった部位があります。
この中のどれから正常な位置からずれてしまうと、腰に負担がかかってしまいます。この姿勢維持し続けると、体が不調を起こします。
腰のねじれによっておこる症状のわかりやすい例が「腰痛」です。腰痛は腰が痛いほうに重心がかかり、そちら側に身体がねじれています。すると、腰から上部の器官によって荷重がかかり、ねじれた側の腰の負担がかかります。
さらに、腰のねじれは腰だけにとどまりません。腰がひねられることで、「膝」にも影響が出ます。膝が傷むのは膝自体から原因は来ていません。膝の痛みは腰のねじれによって生じます。腰椎の3番目(上から数えて3番目の骨でだいたいおへその裏側にある)を中心としたねじれが原因です。
また、腰のねじれは左右ではなく、前後にも起こります。つまり、腰の前傾と後傾です。腰が後傾するとお腹にも腰にも力を入れることができなくなります。これによって、「肩」に不調が起こります。腰が後継して肩が前方に出ると、首から肩にかけて存在する僧帽筋(そうぼうきん)が引っ張られてしまうため、「肩凝り」が起こります。
そのため、整体師の世界では、「腰が丸まっていると猫背になりやすいから、なるべく骨盤を前傾させて下さい」と指導します。かといって、腰だけにとらわれて前傾させようとすると、前にねじれてしまいます。前にねじれると背中の筋肉に張りが出ます。すると、背中が痛くなります。これによって、首が痛くなったりギックリ腰になりやすくなったりします。
腰のねじれによって、膝や肩など他の部位にも影響をおよぼします。普段から体の不調をなくすためには、腰の状態を整えるようにしましょう。
腰方形筋、腹横筋の力が硬くなると、腰の力が抜ける
生活における腰の崩れ方を分析すると、あらゆる症状が腰から来ていることがわかります。例えば、腰回りには、骨盤を立てるための「腰方形筋」があります。そして、腰椎をほぼ垂直に立てるための「腹横筋」があります。これらの筋肉が硬くなり、収縮活動ができなくなると、脂肪がつきやすくなったり、力を入れづらくなります。
もし、腰の力が抜けてしまうと、腰椎が前方にずれやすくなります。前方にずれると、身体の重心が腹回りではなく、胸や首といった部位にかかりやすくなります。
例えば、肩凝りは腰の力が抜けることで起こります。腰の力が抜けて重心が上がると、上半身の力が入りやすくなります。これによって、首から方にかけてついている僧帽筋(そうぼうきん)に張りが出てしまいます。その結果、「肩凝り」が起こります。
腰の力が抜けて重心が上がると、首関節に力がかかってしまい、左右のどちらかに力がかかります。これによって、力が入っている側が耳鳴りや難聴になる可能性があがります。首が左右ではなく、前にずれてアゴが上がると鼻の結構が悪くなります。その結果、鼻が詰まったり鼻水が止まらなかったりといった症状が現れます。
他に痔になりやすい人は、足裏の重心が小指側にかかっている可能性があります。小指側に重心が乗っていることで、腰の力が抜けるからです。腰の力が抜けると、肛門の括約筋の拡大・縮小作用が衰えます。すると、肛門周りの血流が悪くなり、痔になりやすくなります。
この場合は、靴の裏側を見ることで確認できます。
例えば、足裏の重心に置き方を間違えると、腰の力は抜けてしまいます。かかとに重心に乗っていると、脚の後ろ側の筋肉が縮みます。すると、腰が後ろに傾きやすくなり、力が入りにくくなります。
また、小指側に重心が乗っていると、人の体は上半身全体が前に傾く姿勢が取りにくく、ふんぞり返る姿勢を取りやすくなります。これによって、腰に力を入りにくくなります。
靴のかかとがすり減っている。あるいは外側がすり減っている人の場合、痔になる可能性があります。重心を変えて立ったり歩いたりするように心がけましょう。
小さくジャンプすることで重心を下方向に整える
ただ、腰の力が抜けやすい場合、簡単な運動によって、重心を下に下げることができます。有効な方法として「ジャンプ」があります。
ジャンプ動作はバスケットのダンクシュートのように、ダイナミックに動かす必要はありません。自分の体全体を「ボール」とイメージして、体全体を使ってゴムまりのようにポンポンとはねるように動きましょう。これによって、普段から腰に力を入れやすい姿勢を取ることができます。
ジャンプ動作を行うと、自然と母指球に体重が乗ります。自然と母指球に力をかける運動を続けることで、立つときに母指球を意識しやすくなり、腰に力を入れやすくなります。
なお、運動経験のない場合、小さくはねたりスキップするだけでも効果的です。上下方向に体を動かすことで、横隔膜が柔軟に動くようになるからです。すると、上半身の姿勢がリラックスしやすくなり、重心が下方向に下がります。腰に自然と力が入る上半身の姿勢を身につけるのに最適な運動です。
腰椎のゆがみを取る方法
そのため、腰痛の原因を改善するには、腰椎のズレと背筋の緊張を解きほぐすことが大切です。この二つの悩みを解決するためには、上半身の姿勢を整える必要があります。
腰椎のねじれを取る方法は、生活の中に、胴体をひねる動作を入れることです。
具体的なオフィスでできる方法としては、イスに座って右にひねりたい場合、左手を右太ももの外側に置きます。次に、口から息を吐きながら上半身を腰から右にひねります。鼻から息を吸いながら、右に捻った上半身をもとに戻します。これを反対でも同様に行います。
そして、背筋の緊張は、首を伸ばして、両肩を落とすことで解れます。両肩のつまりは背中の筋肉の固化につながるため、楽にして、ゆるめるようにしましょう。できるなら、腕にも何も力を入れず、ぶら下げているだけの感覚にしておくとより肩が下がります。
この二つの運動と、姿勢の整え方を意識して、腰のねじれと背骨の方さを解消しましょう。腰への負担が軽くなり、痛みを軽減させることにつながります。
あらゆる方向に腰を動かして、ゆがみを解消する
上記に述べた通り、腰からあらゆる症状が出ますが、実際に腰に負担のない姿勢を整えることは非常に難しいです。その理由としては、日常生活で腰をつかう作業が格段に減ったからです。
昔は、腰をうまく使ってトイレをしたり物を持ったりしていました。さらに周りの大人が自然とその動きをしていたため、子供たちも見てその動きを学んでいました。しかし、今は機械や便利機器が増えました。そのため、腰を使わなくてもあらゆることができるようになりました。
そのため、「腰を入れる」「腰を据える」といった言葉の意味を理解できなくなっています。そのため、多くの人は「無理に腰を動かして上半身の他の部位を力ませてしまい、かえって健康に害のある動きや姿勢を取っています。そのため、普段の生活でなるべく腰を動かす機会を作ることが大切です。
その中で、すわったときにできる骨盤を動かすエクササイズがあります。それは、骨盤周りを円のように動かすことです。まず、腰を後ろや前に動かして、上体を屈ませたり反らせたりしてみましょう。イメージとしては。極端に「猫のように背中を丸める」と「モデルのように腰を反らせる」ことをイメージします。
次に、腰を左右に動かしてみましょう。腰を左に動かすと右の脇腹がちぢみやすくなります。右に動かすと左わき腹がちぢみやすくなります。意識的に脇腹を縮めても良いですが、脇腹が自然と縮むくらい、腰を左右に振ってみてください。腰を左に引くときに右の股関節を浮かせるようにするとうまく行きます。
最後に、「猫背」、「腰をそらせる」、「右に腰を動かす」、「左に腰を動かす」4つの動作をつなげて、円を描くように骨盤をその場でぐるぐる回してみましょう。すると、腰回りの筋肉があらゆる方向に働いて、体の負担を軽減することができます。