日常生活において、体を動かしていなかったり、座り作業中心の生活していたりすると、体の不調を患いやすくなります。デスクワーク中心の人には、肩や腰に不調を持っている人が多いです。他に、体を動かしたくない、疲れがとれにくいといった症状を持つ人もいます。
このように、体の不調には様々なものがあります。そのために、普段から自分の体の状態を把握しておくことは大切です。
東洋医学の世界では、お腹周りの三つの箇所を使って、自分の健康状態を把握できる方法があります。この三つのポイントを理解することで、自分自身の体の状態を確かめることができます。
ここでは、体にある3つの箇所から、自分の不調を知るための方法を解説していきます。
「みぞおち」「中院」「丹田」から、自分の健康状態を調べる
東洋医学における、健康状態を把握するための体の観察法を「腹証(ふくしょう)」と言います。これは、「みぞおち」「中院(ちゅういん)」「丹田(たんでん)」の3か所を観察することで、その人の体の健康状態をチェックできます。以下に三ヶ所の具体的な場所から、観察の仕方までを解説していきます。
みぞおち
人の体には、左右のあばら骨をつないでいる骨があります。これは、「胸骨」と呼ばれ、その下末端部は「胸骨の剣状突起」といいます。剣状突起から指二本下に、みぞおちがあります。東洋医学では、この部分は、精神の働きや気力を表す場所であると言われています。
観察するときには、最初にこの部分を指の腹で軽く触れます。次に息を吐きながら、吐く息に合わせて軽く圧します。
このときに、痛みや重みといった不快感や違和感がなければ、精神状態や気力は良好と言えます。
逆に、圧したときに、痛みや重みを感じたり、硬さやしこりがあったりする場合は、精神状態に何らかの異常が起こっている可能性があります。そして、その場合の不調は精神的なストレスが原因であることが多いです。また、それに肩コリや首コリといった症状を伴います。
・中院
中院の場所は、剣状突起から指3本下の、みぞおちとおへその真ん中にあります。この部位は生命力の豊かさについて判別ができます。
観察方法は、中院に指の腹を軽くのせて、吐く息に合わせて圧します。このとき、みぞおちよりさらに深く指が入れば、健康状態は良好です。生命力に満ち溢れた元気な身体である証拠となります。
逆に、この部位がみぞおちより深く入りにくい場合、健康状態に何かしらの異常が発生しています。
重病人や死気が迫っている人は、例外なくこの部位が固くなっています。中院の柔らかさを確認することで、自身の体に異常が起こっているかを判断することができます。
・丹田
丹田の場所は、へそ下から指三本下の部分であり、別名「気海」とも言われます。この部位を観察することで、自身の体力の状態を知ることができます。
観察方法は、丹田に指の腹を軽く乗せて、息を吐いたときに合わせて圧します。この部位が柔らかく、弾力性に富んでいれば、体力旺盛であると言えます。
逆に、この部位が固い場合、体力が落ちており、行動力が低下しがちです。例えば、丹田の弾力性がなくなると、軽い疾患がなかなか治らなくなったり、精力の減退に悩んだりします。
また、この部位は、古くからその人の「人生観」「体験」「知恵」「知識」が生まれる場所だとされています。
東洋では、この丹田を鍛えることが人間の向上であるとして、様々な修行が行われてきました。なぜなら、丹田には病を治す、気力を高めるといった役割があるからです。
これらの三ヶ所に弾力性を持たせるために、上半身の力みを抜くことが大切です。そして、上半身の力みを抜くときのポイントとしては、「両肩を落とす」「腕を楽にする」「自分から腹部に力を入れない」の3点が挙げられます。
意識的に上半身に力を入れると、お腹はどんどん固くなってしまいます。上半身をリラックスさせることで、結果的に三部位が柔らかくなってくると考えましょう。
私は大学時代、みぞおち部が固かったです。武道を本気で学ぶようになり、上半身の力の抜き方や、姿勢の整え方を長く稽古してきました。今では、みぞおち部は柔らかく、丹田部の弾力性も出ました。そのため、スポーツでも怪我に悩まされることが全くなくなりました。運動量も実力も今でも続けています。
人の健康は「みぞおち」「中院」「丹田」の弾力性を観察することで、確認できます。この腹部の三ヶ所を健全にすることで、体と心の健康につながります。