初心者が陥りやすい3つの怪我と不調のパターン

ジョギングを行うことは、身体の不調改善のみならず、ダイエット効果もあります。そのため、健康維持をしたい人は、ジョギングを行うことは大切です。

ただ、ジョギングにおいては、正しいフォームが存在し、その構築の仕方まで学ばななければいけません。なぜなら、こうしたフォームが構築されていなければ、怪我をしたり、体の不調を伴ったりするからです。

そして、運動初心者に陥りやすい怪我の仕方が3つあります。こうした内容を理解しておくことで、ジョギングで起こりやすい怪我や故障を抑えることにつながります。継続的にジョギングをし、健康的な身体を構築するために、怪我の原因をきちんと理解するようにしましょう。

そこで、今回は、ジョギングにおいて怪我に陥る3つのパターンについて解説していきます。

怪我に陥るパターン1:末端部の筋肉を使いすぎる

運動する機会のない人が陥りやすいフォームの崩れ方として「末端部の筋肉ばかり使う」ことが挙げられます。

例えば、歩き動作を行うとき、背筋が折れて猫背になったままになっていると、股関節周りが動きにくくなります。すると、歩く際に上体の重心を脚の力で送り込まなければいけなくなるため、脚の筋肉の負担が大きくなります。これによって、疲れやすくなったり、怪我をしたりします。

この場合の原因として、胴体部の筋肉の柔軟性が低下していることが挙げられます。身体を動かすときに、背骨は「反る・屈む」「左右に傾ける」「捻る」の三種類の動かし方があります。これらの背骨の動きによって、脚や腕を動かすことができます。

しかし、日常生活で運動不足に陥ると、この3種類の動きがしづらくなります。すると、胴体部の筋肉を使った動作が行えなくなり、脚や腕の筋肉を代替として使うようになります。すると、脚や腕に大きく負担がかかります。

この時の対策として、胴体部の筋肉を動かす習慣をつけることです。普段の生活で、胴体を動かしているでしょうか?立っているとき、座っているときは、常に同じ腰椎に負担がかかることがわかっています。そして、腰椎を自分自身で動かさなければ、胴体部の動きのキレは低下していきます。

そのため、体操を行うようにしましょう。例えば、座った状態で、背骨を反らしたり屈ませたりします。あるいは、方腕を上方に高くあげ、体を左右のどちらかに傾けて体側を伸ばします。このようなことを行うことで、胴体に近い筋肉の柔軟性が回復し、末端部の筋肉ばかりを使った動きを改善することができます。

怪我に陥りやすいパターン2:身体をひねりすぎる

ただし、胴体部の筋肉が使えれば良いかというとそうでもありません。実はもう一つの方法でフォームが崩れ、怪我に陥る可能性があります。

それが、「捻る動作」を意識しすぎることです。走ったり歩いたりするときに、身体を不用意にひねりすぎると、疲れやすくなります。それによって、太ももや肩といった部位が緊張しやすくなり、不調をまねきます。

この理由として、「ひねる動作」は歩く動作に向かないからです。

ひねる動作が適している動きの例として、「スイング動作」が挙げられます。例えば、野球やテニスのスイング動作は胴体をひねることで、ボールを飛ばします。このようなひねる動作は瞬間的に力を伝えるのには適しています。

しかし、ジョギングやウォーキング動作で重要となるのは、背骨を反らしたり、屈ませたりする動きです。なぜなら、この2つの動きが円滑に行われることで、動作中における左右の脚の回転運動が無理なくスムーズに行われるからです。

しかし、実際に、ジョギングにおける走り方の指導において、ひねる動作を教えられることがあります。例えば、「肩甲骨から腕を振るようにしましょう」「股関節から脚を動かすようにしましょう」などです。

一見、これらの動作は胴体部の筋肉を活用するために、良いように思うかもしれません。しかし、不用意に肩甲骨や股関節を動かそうとすると、かえってジョギング中のフォームが崩れてしまい、無駄な疲労感や力みが出てしまいます

人の背骨の中で、最も可動域(かどういき:動く範囲)が大きいのは「胸部」です。胸部を動かそうとすると、右や左に無理なくねじることができます。上記した「肩甲骨から意識して腕を動かす」ことは不用意に胸部の背骨が動くことになり、フォームの崩れにつながります。

上級者ほど、身体を不用意にひねって怪我をしてしまう

この事柄をサッカーにたとえて説明します。サッカーではボールを蹴る動作があります。初心者の場合、「足だけ」でボールを蹴りがちです。これは、前述の「末端部の筋肉ばかり使う」フォームの崩れ方に該当します。この蹴り方では力をボールに伝えることができないため、練習によって少しずつ体の使い方をかえる必要があります。

そして、技術レベルが上がると「腕を振る動作」と連動してボールを蹴るようになります。腕を使いながら足や体幹の筋肉を伸ばし、その後に縮ませます。このように収縮させることで、より多くのパワーをボールに伝えることができます。

さらにレベルが上がると、足の筋肉を伸ばして縮めるときに、骨盤を回旋させようとします。つまり、「ひねり」を動作中に加えるようにします。スポーツにおいては、伸ばす、縮める、まげる以外にひねるという動作が加わると、より効率よくパワーを伝えることができます。

スポーツの世界では「ひねる」ことを重要視されます。ただ、ひねる動作の多くは関節で起こり、繰り返しひねり動作を行うと関節の部位のみにストレスが生まれます。すると、体へのストレスとなって、怪我をしてしまいます。
このように、フォームの崩れは「末端部の筋肉ばかり」使うことと「ひねり動作を意識しすぎる」ことによって起こります。両者ともに最終的には怪我につながってしまうため、動作を行うときは注意が必要です。

これは、野球でも同様のことが言えます。「腰から下半身を動かしましょう」と言うと、確かに速くスイングすることができます。しかし、実際にこの動作を続けると腰痛になりやすいです。腰を動かそうとするとひねり動作が起こりすぎてしまうからです。

武道においては「ひねる」という動作を行うことがほとんどありません。なぜなら、ひねることで一部分の筋肉に負荷がかかりすぎてしまい、負荷のかかった筋肉に意識が集中してしまうからです。すると、体の一部分にとわれてしまい、全体の動きを把握できなくなります。剣であれば、速く振ることができなくなり、弓であれば、強い弓を負担なく引くことができなくなります。

怪我に陥るパターン3:体の力を抜きすぎる

ジョギングや歩き動作において、上半身の無駄な力みを取ることは大切です。なぜなら、無駄な力みを取ることで、動いているときの疲労度が変わってくるからです。そのため、スポーツの世界では、「リラックスしなさい」とコーチが選手に指導する光景がよく見られます。
確かに一流のスポーツ選手の動作を見ると、力が抜けているように見えます。無駄な力みや動きがないために、リラックスすることの重要性がわかります。しかし、この言葉をジョギングで行うときに、注意点があります。

それは、体をリラックスさせようとして、上半身の力を全部抜こうとすると、かえって姿勢が崩れてしまい、疲れてしまうことです。

具体的には体育の時間でよくやられる「休め」の姿勢を取ろうとしてしまいます。すると、上半身の全ての筋肉が脱力します。人によっては猫背になったり、腰の後部にずしりと体重が乗ります。

確かに休めの姿勢をとると、そのときは力が抜けます。ただ、この状態で歩こうとすると、楽に歩ける感覚は少ないです。どちらかというと「動き出しがすごくだるい」「脚を出しにくくなる」感覚があります。一歩脚を出そうとすると、何か一歩目が重い感覚があり、歩きづらいです。

これは、ランニングでも同様です。下手に上半身の姿勢が力みを取ろうとして脱力したら、必要以上に力が抜けてしまい、走りづらくなることがあります。これは、力を抜くことによって、理想の姿勢、骨格を崩れたことによって起こります。走りづらい姿勢のまま、気づかずにジョギング動作を行うと、関節に必要以上に負担がかかってしまい、けがをしています。

きれいな姿勢は程よく気持ちが引き締まる

ジョギングを行う際に、上半身をまっすぐに伸ばしすことは重要です。なぜなら、姿勢をまっすぐにし、背筋を伸ばすことで、交感神経がほどよく働くからです。

背骨には、自律神経と呼ばれる血圧や心拍数など生命活動に関わる機能を制御している神経があります。この自律神経において、血液の流れを速くする神経が交感神経、流れを遅くするのが副交感神経です。

先ほどお話した上半身の力を抜くことで、肩や腕の筋肉の力みをとることができます。このこと自体は良いことですが、ジョギングを継続的に行う為には、背筋を伸ばし、交感神経を程よく活動させなければいけません。

姿勢の崩れによって、交感神経をの働きが悪くなれば、腕や脚など末端部に位置する筋肉に栄養を送りづらくなります。上半身の力みを全部とった姿勢は、副交感神経優位の状態となるため、連続的に筋肉を動かし続けなければいけないジョギングには不向きの状態です。そのため、ジョギングを行う際には、ある程度の緊張が必要といえます。

私はランニングのフォームについて質問をされる機会があります。そのときに、「上半身の力みが取れないのですが、どのようにすれば力みが取れますか?」と聞かれたことがあります。私は「全部力を抜くと余計に姿勢が崩れる可能性がありますよ」と解答しました。

力を抜くことによって、かえって上体に締まりのないジョギングフォームになります。すると、空気抵抗を受けやすく失速しやすい、スピードを上げづらいといった問題が起こります。リラッコスしすぎた姿勢は、大きな怪我になることは少ないですが、非常にだるく、かえって疲れやすいといった欠点があります。

ラックスしようとして全身の筋肉を抜こうとすると、かえって姿勢が崩れてしまいます。上体の重みが腰の中央ではなく、後部にかかりすぎてしまいます。すると、歩きにくく、走りにくい姿勢になってしまいます。

力は抜くのではなく「入れない」ようにする

そのため、歩くときは力を抜くことをあまり考えすぎないようにします。まずは力を入れる筋肉と入れない筋肉をはっきり分けましょう。具体的には、ジョギング動作において、表の筋肉はリラックスしており、裏の筋肉は適度に張った姿勢を意識するようにしてください。

首の裏側、脇回り、背中周りといった裏側の筋肉は関節を安定させる筋肉が多く存在します。逆に、腕や肩といった表側の筋肉には関節を動かす筋肉が多くあります。つまり、裏側の筋肉を使うことで、胴体全体を安定させ、表側の筋肉をゆるませることで、より手足を動かしやすい状態にするのです。

おなか周りの筋肉は「走るときは腹筋が大切」とよく言われますが、自分から力を入れることで、かえって腰周りの筋肉が動かなくなり、遅くなる可能性があります。そのため、おなか周りの筋肉もなるべくリラックスさせておいた方が歩き動作中に疲れにくくなります。

つまり、表側の筋肉には力を入れないようにしましょう。できれば、坐っているときも立っているときも表側の筋肉を緩めて、後ろ側の筋肉を活用した姿勢を構築するのが理想です。歩くとき以外にも常に「後ろ側の筋肉」を意識して、働かせるように心がけましょう。

以上の内容を理解することで、ジョギングにおいて陥りやすい怪我のパターンを理解できます。以下にまとめると

① 末端部の筋肉を使いすぎると怪我をする
② 胴体をひねりすぎると怪我をする
③ リラックスさせすぎると怪我をする

となります。そのため、胴体部の筋肉を柔軟にし、捻る動作を行わないようにしましょう。その上で、体の表側の筋肉をリラックスさせ、裏側の筋肉を適度に張った姿勢を作ることで、ジョギングを楽に、身体に負担なく行えるようになります。ダイエット、健康維持にジョギングを行う方は今回の内容を意識してトレーニングに励むようにしてください。

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