本当の腹式呼吸によって、体の状態を整える

スポーツ選手が運動中にメンタルを整えるひとつの方法として、呼吸があります。呼吸動作を変えることにより、安静時に働く神経を活発に働かせることができます。

そのため、運動中に自分の心の状態を整えることができます。それによって、筋肉に無駄な力みがとれて、動きの質も高まっていきます。一般人の場合、普段の生活で適切な呼吸法を覚えることで、心身や状態を整えることができます。

呼吸動作で有名なものとして「腹式呼吸」があります。腹式呼吸は呼吸するときに特に「お腹」を意識して動作を行います。そこで、適切な姿勢を覚え、呼吸するときの意識の仕方を変えれば、無駄な力を使わずに、腹式呼吸ができます。

ここでは、適切な腹式呼吸の仕方を解説していきます。

 腹式呼吸は背中の筋肉も動くように行う
腹式呼吸を行うときのポイントは「おなかに空気を入れて、お腹から息を吐くようにする」という教えがあります。この言葉自体は間違っていませんが、実際の生活に活かすためは、他にいくつかのポイントをおさえないといけません。

ここでは、座った姿勢を例に、呼吸の仕方を解説していきます。

例えば、少し背中を丸めて呼吸をしてみましょう。

すると、背中の筋肉は動かず、お腹だけがぷくっと膨らむような呼吸となります。これでは、息を外に吐き出すために、お腹や肺回りの筋肉が働きすぎてしまい、無駄な凝りとなってしまいます。

また、本当はさらに多くの息を取り込めるのに、筋肉を最大限に働かせることができないために、呼吸動作がしにくくなります。

他に、背中をそらせて背中を張った姿勢を取りましょう。この姿勢で呼吸をしたとしても、背中は張ったままであり、吐く動作が行いづらいです。

では、呼吸がしやすい姿勢を作り、そこから腹式呼吸をしてみましょう。まず、姿勢を整えるために、首の後ろを上方に伸ばし、両肩を下に落とします。これによって、上半身上部の無駄な力みがなくなり、お腹周りが動かしやすくなります。

このとき、骨盤は垂直に立てるようにします。この状態で息を吸ってみましょう。すると、お腹に空気が入り膨らみます。

次に息を吐きます。ここで、正しく行えているかどうかを確認するために、背中に手を当ててみてください。お腹につまった息を吐ききるつもりで、息を吐いていきます。十分に吐ききったら吐く動作をやめてください。

すると、自然と吸う動作が行われ、息がおなかにはいります。このときに、背中の筋肉が動いていれば、正しく腹式呼吸ができています。

さらに、背中に余計な張りがなければ、呼吸動作によって、気持ちを落ち着かせることができます。

心を安静な状態に整えるには、背中の筋肉の力みをなくす必要があります。背中には、心を安静な状態に整える「自律神経」が存在しています。自律神経は私たちの心の状態をコントロールする神経といえます。

呼吸中に背中の筋肉が張っていると、自律神経の働きに影響が出てしまいます。そのため、呼吸動作中はおなかだけでなく、背中の筋肉も働くように呼吸をします。

腹式呼吸のときの姿勢の取り方がわからない人の場合、お腹だけを意識して動かします。しかし、姿勢を考えずに呼吸を行うと、不用意におなかの筋肉だけ働いてしまいます。すると、余計な力みが生じてしまいます。

禅の世界では、正しい腹式呼吸として、背筋をまっすぐして、上体の無駄な力みを取る教えがあります。もし、お腹から息を吸うことだけ意識をしていたら、精神の安定や身体のリラックスといった効果を引き出すことができない可能性があります。

そのため、腹式呼吸を適切に行うためには呼吸動作に意識を置くのではなく、呼吸しやすい姿勢を作ることを先に意識します。そのためには、首を伸ばし、両肩を落とす姿勢を作ります。

この姿勢を維持しながら、吐く動作を行いましょう。すると、息を吐きやすくなってお腹をへこませやすくなります。そして、息を入れると、お腹に素直に空気がはいり、余計な力みなく呼吸動作が行えます。

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